NHKテレビテキスト「司馬遼太郎スペシャル100分de名著」で、司馬文学を学ぶ

 「竜馬がゆく」や「翔ぶが如く」「坂の上の雲」などで知られる作家・司馬遼太郎の特集講座が3月、テレビで4回にわたって放映されることを知り、早速、そのテキストを購入しました。番組は、NHKの「司馬遼太郎スペシャル100分de名著」です。「日本と日本人を見つづけた作家」司馬遼太郎の人と文学が解説されています。テキストをじっくり読み、講師の磯田道史・静岡文化芸術大学教授の話を聞いて、司馬遼太郎の文学を勉強したいと思います。

 「この番組とテキストでは、司馬遼太郎さんの作品から、戦国、幕末、明治、そして、司馬さんが異常な時代――『鬼胎(きたい、もしくは異胎)』と呼んだ昭和前期、さらには、日露戦争後の日本および日本人を見つめなおしていきます」

 磯田教授は、番組構成について、こう書いています。

 番組は3月2日から毎週水曜日の計4回にわたって放映されます。司馬遼太郎の作品から、「国盗り物語」「花神」「明治という国家」「この国のかたち」を取り上げ、それぞれ、「戦国」から読み解く変革力(国盗り物語を中心に)、「幕末」に学ぶリーダーの条件(「花神」を中心に)、「明治」という名の理想(「明治という国家」を中心に)、「鬼胎の時代」の謎(「この国のかたち」を中心に)を学んでいく形になっています。

 テキストは約100ページですが、詳細な解説がぎっしりと詰まっています。このテキストを読むだけでも、司馬遼太郎に関する膨大な量の知識を理解することができます。

 たとえば、第1回について、磯田教授は、司馬遼太郎を、ただの歴史小説家ではなく、「歴史をつくる歴史叙述家」としてとらえています。「歴史というのは、強い浸透力を持つ文章と内容で書かれると、読んだ人間を動かし、次の時代の歴史に影響を及ぼします。それをできる人が『歴史をつくる歴史家』なのです」と磯田教授は書いています。

 そのうえで、磯田教授は、後世の歴史に影響を与えた歴史家として、「日本外史」を著した頼山陽、「近世日本国民史」を書いた作家・ジャーナリストの徳富蘇峰、そして、司馬遼太郎を挙げています。

 深く考えさせられる分析です。3人の作品を読み込んで、磯田教授の指摘について研究してみたくなります。

 テレビ番組はほとんど見ませんが、定年を迎えて、テレビ欄に再び、目を向けると、いい番組も多いことを実感しました。「100分de名著」では先月、オーストリア生まれの心理学者・精神科医のアルフレッド・アドラーについて学びました。また、時代劇、名画、紀行、ドキュメント、ニュース解説などBSを中心に、見たい番組があります。うまく活用して、今後の人生を豊かなものにしていきたいと思います。