イスラム国とは?① 国際情勢を、キーワードでやさしく読み解く

 イスラム国(Islamic State)の特殊性

 国家を名乗っていますが、国際社会の通常の国家とは大きく異なります。国家形態・組織は整っておらず、イスラム国家樹立という自らの主張をテロを通じて訴える過激派組織になっています。イスラム国を承認した国家はなく、イスラム国が発行したパスポートも使用不可能です。世界各地で、テロを続行する手口を見ると、その特殊性が際立っています。

 国家樹立宣言

 指導者のアブ・バクル・アル・バグダディ容疑者が2014年6月末、イスラム国の樹立を宣言しました。前身は、イラク戦争(2003年)後に生まれたイスラム・スンニ派過激組織で、2011年に発生したシリア内戦の混乱に乗じて勢力を拡大してきました。シリア北部からイラク中部までを領土としています。
 バグダディ容疑者は自らを、イスラム教預言者ムハマンドの後継者・カリフであると名乗り、全世界のイスラムシーア派教徒に対して、自分に従うよう求めています。

 中東地域の国境線の変更を要求

 中東諸国の国境線は第一次世界大戦後、英仏など欧州諸国が線引きしたもので無効であるとして、国境線を変更するよう求めています。現在は、シリア、イラク国内を領土にしていますが、将来的には、スペインからトルクメニスタンまでをイスラム国にしようと画策しているともみられています。

 

 イスラム国の実態

 バグダディ容疑者を頂点に、実働部隊は約1万人です。首切りによる処刑映像が度々、流されるように、残虐性を強めています。イスラム国の主張に沿わないものは排除するという姿勢です。

 世界各地でテロ

 米軍主導で空爆が行われ、イスラム国はシリア、イラク国内で窮地に陥っているとみられています。この劣勢を挽回するかのように、イスラム国は、世界各国で、テロを起こしています。35人が死亡したベルギーの事件(今年3月)、130人が死亡したフランスの事件(昨年11月)などで犯行声明を出しています。
 処刑映像で、英語が時々話されるように、イスラム国に加わる外国人戦闘員も目立ち始めています。イスラム過激思想に染まる外国人も増えており、それらの過激派が自国内でテロを働くケースも目立ってきました。

 国家とは自称するものの、テロ行為を強めるイスラム国家。国際社会は、このイスラム国家にどう立ち向かうか大きな課題を直面兆しています。

 写真は、産経新聞の記事(8月6日付)。イスラム国が、ロシアに対して、ジハード(聖戦)を行うと発表。これに対して、ロシアが警戒を強めていることを報じています。
 
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