肝不全はどんな病気? 症状、余命、予防法を調べる 元女優の平田実音(みお)さんも死去

 2017/12/13更新

 肝不全というのはどんな病気なのでしょうか。症状、余命、予防法などを調べてみました NHKの教育料理番組「ひとりでできるもん!」の初代「舞ちゃん」役で人気だった元女優の平田実音(みお)さんも、肝不全のため、33歳で2016年8月に亡くなっています(写真は、夕刊フジの記事=2016年9月3日付)。

 ◇肝臓の機能

 肝不全とは、肝臓の機能が大幅に低下し、末期的な状態に陥った病気です。ですから、まず、肝臓の機能にはどんなものがあるのかを調べてみましょう。肝臓は、人間の体の中で、最も大きな臓器で、重さは1キロから1.5キロあります。少しなら切っても、再生することの出来る強い臓器としても知られています。再生能力があるのは、人間の臓器の中で、肝臓だけです。

 肝臓の機能としては、まず、栄養素を貯蔵し、時には、新しい栄養素に変えて、体で吸収できるようにしています。「化学工場」と呼ばれる所以です。体を動かすにはエネルギーが必要ですが、肝臓は、ぶどう糖を、エネルギーの元となるグリコーゲンに変換し、その都度、体にグリコーゲンを供給しています。また、アミノ酸から、血液に必要なアルプミンや血液の凝固因子などのたんぱく質も合成しています。

 肝臓は、消化のために必要な胆汁も生成しています。

 さらに、薬物や異物など様々な毒を中和・分解し、排泄する機能も持っています。酒のアルコール、たばこのニコチンも中和して、無害な物質に変えています。

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 ◇肝不全とは

 肝臓は、「沈黙の臓器」と言われるように、なかなか症状が現れにくい強い臓器ですが、病気が見つかった時は、一気に悪化していることが多くあります。

 肝臓疾患は、ウィルス性肝炎A、B、C型、薬剤性肝炎、アルコール性肝炎などの急性肝炎→慢性肝炎→肝硬変→肝臓がんと進行しますが、肝不全はさらに悪化して、上述した肝臓の機能がほとんど失われてしまった末期の病気です。生命にかかわる、かなり深刻な病気です。

 ◇肝不全の症状

 症状としては、以下のようなものが現れます。

 ・疲労
 ・脱力感
 ・食欲不振
 ・吐き気
 ・顔や皮膚が黄色くなる黄疸(おうだん)
 ・お腹に水がたまる腹水
 ・消化管からの出血 
 ・血液循環の低下で、血液が腎臓に回らなくなると、腎臓の機能低下、腎不全にもなります。
 さらに重篤となると、意識障害や精神錯乱を引き起こす「肝性脳症」や、昏迷、昏睡(こんすい)に陥った「肝性昏睡」になります。

 ◇肝不全には2つのタイプ

 肝不全には、急性肝不全と、慢性肝不全の2つがあります。急性肝不全は、黄疸など肝臓障害の兆候から、1週間-4週間で、「肝性脳症」や「肝性昏睡」に陥った状態を指します。健康だった人が数日間で死に瀕するケースもあります。

 これに対して、慢性肝不全は、急性肝炎→慢性肝炎→肝硬変→肝臓がんと数か月から数年をかけて徐々に進行する病気を指します。静脈瘤から出血して、初めて、病気が悪化していることに気づくことも多々あります。切り傷からの出血が自然に止まらなくなることもあります。

 ◇余命は?

 肝不全は深刻な病気ですが、進行速度は、人によって大きく異なるため、余命を一概には言うことができません。肝不全の症状の度合いによって、余命が決まることになります。「肝性脳症」や「肝性昏睡」に陥った場合は、かなり危険な状態になります。

 ◇予防

 肝臓は「沈黙の臓器」で、症状が悪化してから肝臓障害が見つかることも多いですから、常日頃から、健康診断などで、肝臓機能の数値をチェックすることが不可欠になります。

 最初から肝不全となることはあまりありませんから、まずは、急性肝炎や慢性肝炎の有無に気を配ることです。肝臓は我慢強い臓器ですが、一度、悪くなると、元に戻りません。細心の注意が求められます。

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