本多静六博士 豊富な引用、抜き書きで、発想を得て思考を深める 【偉人のスタイル】

 本多静六・林学博士の著書を読んでいくと、世界著名人の言葉の引用、抜き書きが多いことに気づきます。抜き書きを追って読むだけでも、面白く、役に立ちます。本多博士が、丹念な引用、抜き書きで発想を得て、思考を深めていったことがわかります。

 「幸福はどこにでもある。しかし、われわれはそれを知らない。いや知ってはいるが、それを尊ぶことを知らないのである」(ゲーテ)

 「幸と不幸の差は、その人が人生を楽しくみるか、敵意を抱いて陰気に眺めるかの差であると思う」(メーテルリンク)

 「自分の仕事にすっかり沈潜し、没頭することのできる働き手はもっとも幸福である」(ヒルティ)

 「友人を失わない最良の方法は互いに貸借しないことだ」(ポール・ド・コック)

 著書「本多静六 成功するために必要なシンプルな話をしよう」には、これらの言葉がちりばめられています。深く、味わいのあるものばかりです。

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 本多博士は、新聞や雑誌を読む際、赤鉛筆を手に持ち、日誌に書き抜く部分には横に線を引き、切り抜くべきところには、「 」を付けました。そして、就寝前、卓上日記に線を引いたところを書き抜き、「 」印は切り抜いてスクラップブックに貼り付けました。

 この書き抜きやスクラップは、論説や本を書いたり、講演の原稿を作る時には重宝するもので、これを持たない人は決して良いものは書けないだろう、との見方を示しています。

 本多博士は、印刷の価値のある文章を1日1ページ分(約400字)の文章を書きましたが、こういう文章を書けるのは、これらの引用、抜き書き、スクラップがあるからこそ、ということが理解できます。

 手帳に書いたり、パソコンの文書に打ち込んだりする抜き書きは、知識を豊かにしてくれるだけでなく、読み返すと、いろいろな着想を得ることができます。抜き書きの効用を改めて感じています。

 評論家の福田和也さんの著書「ひと月百冊を読み、三百枚書く私の方法」によると、福田さんは、重要部分を万年筆で書き写し、コメントを付け加えています。「写すことによる、発見や理解が必ずあるのです」と書いています。

 本田直之さんも、本の重要部分をパソコンの文書に打ち込み、機会を見てはA4サイズに印刷して読み返しています。「レバレッジメモ」と名付けた抜き書きは本田さんの書く原動力となっています。

 抜き書きの力を感じ取ることができます。

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