上野から浅草まで歩き、江戸、下町情緒を楽しむ 嘉納治五郎の講道館の跡、柔道発祥の地も訪ねて

 JR上野駅から浅草通りを浅草まで歩くと、江戸、下町情緒を楽しむことができます。江戸大火(明暦3年=1657年)後、江戸各地から移転してきた寺院の町があります。寄席、柔道の発祥の地も訪れ、小さな歴史散歩になります。

 上野駅で下車し、浅草通リを東に少し向かうと、下谷(したや)神社があります。この付近には、江戸大火後、雑念寺、成就寺、宗源寺、西蓮寺などが江戸各 地から移転して、各門前に町屋ができたといいます。雑念寺の門前町屋には、稲荷神社(現在の下谷神社)があったそうです。

 下谷神社は、下谷の鎮守として広く信仰され、江戸時代には、人形芝居などが行われました。祭礼は多くの人々ににぎわったそうです。

 その一角に、「寄席発祥の地」の石碑が建っています。寛政10年(1798年)、下谷神社境内で、咄の会が初めて有料で開かれたといい、江戸の寄席の発祥の地になりました。石碑は、都内の落語劇場などで構成される「寄席200周年顕彰会」によって、1998年に建てられました。

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 少し歩くと、永昌寺があり、境内に、「講道館柔道発祥の地」の石碑があります。明治15年(1882年)、講道館柔道の創始者、嘉納治五郎(1860年-1938年)が、永昌寺の書院(広さ12畳)で、友人や9人の門弟と稽古を始めたといいます。

 体が弱かった嘉納は柔術で健康を取り戻し、柔術の危険な技を除いて「柔道」を考えました。柔道の普及を図ったのが、この講道館となりました。

 地図を見ると、浅草通りの左手、右手には、多くの寺院があります。寺院の町であることが実感できます。さらに少し歩くと、かっぱ橋道具街通りの入り口に到達します。多くの人々でにぎわう陶器の店などがあります。

 皿や小鉢、急須、盃、茶碗、湯のみなどがずらりと並びます。陶器を見ると、心が落ち着きます。全国各地の窯元から集められた名品が多くて迷いましたが、先日は、美濃焼の小鉢を330円で購入してみました。高価なものではありませんでしたが、家族と、美味しい料理を盛って食べたら楽しいだ ろうなあ、と思いました。

 1枚の小鉢は、この日の小さな旅を印象に残るものにしてくれました。

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