知足とは、どんな意味の禅語? 知足者富の読み方や意味は?

  「知足」は、曹洞宗の開祖・道元(鎌倉時代の僧)の説法「八大人覚(はちだいにんがく)」に出て来る禅語です。知足とは、どんな意味の禅語でしょうか。また、同じような言葉に、老子の「知足者富」がありますが、読み方や意味はどうなっているのでしょうか。知足、知足者富についてまとめました。

知足とは、どんな意味の禅語?

 「道元『禅』の言葉」(境野勝悟著)によると、境野さんは以下のように、知足の意味を解説しています。

 「『足る』を知れば、だれもが、簡単に苦痛 から解放され、人生の悩みが消える。いままでの人生の何か一つでも満足して感謝すれば、心安らかになる」。

 「いま」に満足することをもう一度、かみしめたいものです。自分の人生を振り返り、豊かさを感じ取れます。

 不満に思うこともあるでしょう。ただ、そんな中でも、その不満を口に出すのではなく、いままで生きることができたことに改めて感謝する――。そんな原点に立つことがきます。不安や不満は、自分と対話することで和らぎます。

 「ひとのしぬるのち、さらに生とならず」

 境野さんは、道元の別の言葉も紹介しています。

 「人が死んでしまったら、二度と、この世を楽しみ、この世を遊ぶことはできない。ああ、なんと素晴らしき人生。自分の人生を無報酬で支えてくれた大宇宙の偉大な『生命』に『ありがとう』と合掌したとき、今日の一日が輝く」と境野さんは解説しています。

 知足にも通じます。

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知足者富の読み方や意味は?

 老子の「知足者富」は、「足るを知る者は富む」という読み方をします。

 意味は、道元の「知足」と同じでしょう。「知足者富」もしっかり覚えておきたい言葉です。

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道元の「八大人覚」とは

 
 「八大人覚」とは、道元が53歳の時、自らの死期を感じて、最後に説いたものです。知足のほかには、

 「少欲(しょうよく)」 欲を持ち過ぎない。欲こそが苦しみや悩みの種。
 「楽寂静(ぎょうじゃくじょう)」 静かな場所に行く。世の中は沼である、入り過ぎると溺れる。 
 「勤精進(ごんじょうじん)」 やりたいことを一つにしぼる。
 「不忘念(ふもうねん)」 自分の「あるがまま」を受け入れる。
 「修禅定(しゅぜんじょう)」 一歩引いて見つめてみる。
 「修智恵(しゅうちえ)」 前向きの話を聞く。
 「不敬論(ふけろん)」 口論中でも相手を傷つける言葉は使わない。

  があります。それぞれの解釈は、境野さんのものです。じっくり読みたいものです。

まとめ

 
 「(道元の)名前は知っていても、道元が著した『正法眼蔵』九十巻の全体を読み通せた人はほとんどいない」と境野さんは書いています。

 難解とされるのが「正法眼蔵」が敬遠される理由ですが、道元の言葉を知ると、禅の思想を深く学んでいきたい気持ちが強くなってきます。

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