冷暖自知とは、どんな意味の禅語? 座右の銘にもなる、いい言葉

 冷暖自知(れいだんじち)とは、どんな意味の禅語でしょうか。その意味を知ると、座右の銘にもなる、いい言葉であることがわかります。生き方を変えてくれるものともなっています。

冷暖自知とは、どんな意味の禅語?

 禅寺住職で、庭園デザイナーも務める枡野俊明さんの著書「おだやかに、シンプルに生きる」を読むと、冷暖自知とは、どんな意味の禅語なのかが、よくわかります。

 「『人の水を飲みて冷暖自知するがごとし』(人は自分で水を飲んで、初めて冷たい熱いを知る)――。これが元来の意味です。何事も、頭で考えているだけでは真実はわからない、自らの身体と心で経験することこそが大事だ、ということです」

 枡野さんはこう書いたうえで、人間には、

 視覚
 嗅覚
 聴覚
 味覚
 触覚

 の五感が与えられていることを指摘しています。

 「この五感を駆使して、自らの力で体感することです。道端に咲く花の匂いを嗅ぎ、木々の間をくぐり抜けてきた風の音を聞く。石の方さを手で味わい、真っ青な空を眺める。時には暴風に耐え、自然への畏敬を感じ取る。そうすることで、人は自分が確かに生きているという実感を得ることができます」

 五感を澄まして、日々を生きる。冷(苦しいこと)も暖(楽しいこと)も経験しなければわからない。どちらも、特に、苦しいことも受け入れることで強く生きていこうということです。

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椎名誠さんは、においで体感することの大切さを強調

 作家の椎名誠さんも、世界へ旅に出て、五感で旅を体感することを語っています(2015年10月4日の読売新聞、「旅で五感の価値を知る」の見出しの記事)。椎名さんはこの記事の中で、嗅覚に、もう少し配慮したらどうかと提案しています。

 「インターネットやテレビ(旅)番組では絶対に分からないものがある。それはにおいなんですよ」

 「インドに行くとカレーの香りがするかと思ったら、そうじゃなくてね、濃厚な甘い花の匂いがするんです。モンゴルは乳とチーズ。アフリカなら動物のフンや枯れ葉。韓国はニンニクですね」

 「そこで自分の五感というものの価値を知る。体の感覚が研ぎ澄まされる。行かなければ鈍磨していく」

 旅と言うと、まずは、視覚でしょう。文化や習慣、歴史、政治情勢などが異なる外国へ行くと、その風景の違いが目に飛び込んできます。

 しかし、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などにも気を配ると、訪れた国を一層、深く感じることができます。

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私の体験

 たとえば、椎名さんが指摘している嗅覚でいうと、私も、約35年前、フランスに行った時は、パリのシャルルドゴール空港に降りると、香水の香りを感じ、おしゃれなファッションの国に来たことを体感しました。

 また、インドに駐在した時は、椎名さんとは違いますが、カレーの香辛料の匂いが強烈でした。

 イスラム圏の国々では、お香の香りがしました。ベルギーは、「フリッツ」と言われるポテトフライが印象的でした。プーンとした揚げたての香りを感じながら、ケチャップやマヨネーズをかけて、大きく短冊状に切った「フリッツ」を食べたものです。

 キューバは、「モヒート」で知られるラム酒のにおいでした。

 五感で体感した思い出はいつまでも印象に残ります。

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まとめ

 訪れる国、訪れる時期によって、視覚や嗅覚、聴覚、触覚、味覚による旅の思い出は変わってくるでしょう。

 旅に出る。旅を五感で体感すれば、旅の楽しさは一層、増します。

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