すい臓がんは、初期症状だけでは、ほとんど早期発見できず 精密検査の重要性をクローズアップ

 すい臓がん患者の4割が病気を発見した時、進行度の最も進んだ「ステージ4」だったことが国立がんセンターの調査でわかりました。新聞各紙が26日に報じました。肺がんや胃がん、大腸がんなどに比べて、すい臓がんは見つけにくがんであることが改めて裏付けられ形です。自覚症状が乏しいことが、初期発見を難しくしている要因です。調べれば調べるほど、確かに、すい臓がんと判定できるような自覚症状は少ないですが、そうであれば、検診より一歩進んだ精密検査を早く受け、予防対策を講じる重要性がわかってきます。

 すい臓の機能

 すい臓は、腹部にあり、胃の裏側に横になっています。トウモロコシのような形で、表面には、ブツブツした組織があります。すい臓は十二指腸の方から順に、膵頭部、膵体部、膵尾部と呼ばれており、膵頭部は十二指腸と、膵尾部は脾臓とつながっています。
 すい臓の機能は主に2つあります。まず、膵液を分泌し、十二指腸に送って、炭水化物、たんぱく質、脂質を分解・消化します。また、インスリンやグルカゴンというホルモンを分泌しています。インスリンは血糖値の上昇を、逆に、グルカゴンは血糖値の低下をそれぞれ抑える働きをしており、2つのホルモンがうまく機能することで、血糖値を正常にしています。

 すい臓がんの特長

 すい臓がんは年々、増加しており、死亡数は、肺がん、胃がん、大腸がんに次いで第4位です。すい臓が胃の裏側にあることや、初期症状が明確にないことから、今回の国立がんセンターの調査のように、「すい臓がんを発見したら、ステージ4」ということもよくあります。
 部位では、膵頭部に発生するがんが過半数を超えています。膵体部、膵尾部に行くほど、発見が遅れるケースが目立っています。すい臓の周囲の血管やリンパ節に、すい臓がんの細胞が浸潤することも多く、全身へ転移することもあります。「進行がん」と呼ばれるものです。
 高齢になればなるほど、すい臓がんに罹る人々が増えています。

 すい臓がんの原因

 原因はいろいろあります。

 ・慢性膵炎

 アルコールの過剰摂取などによる慢性膵炎が進行して、すい臓がんになるケースです。慢性膵炎の炎症によって、すい臓の細胞が破壊されて機能が大幅に低下、すい臓がんとなることがあります。

 ・糖尿病

 通常の人々に比べて、糖尿病患者は、すい臓がんになる可能性が高くなっています。血糖値をコントロールするインスリン、グルカゴンの2つのホルモン分泌に異常が生じて糖尿病になるわけですから、すい臓がんを併発するリスクは高くなります。糖尿病になったら、すい臓がんも疑ってみる心構えが大切です。

 ・生活習慣(喫煙、肥満)

 先に説明した飲酒とともに、喫煙も、すい臓がんを発症させる危険因子となっています。特に、ヘビースモーカーは要注意です。たばこを吸わない人に比べて、すい臓がんになる可能性が高くなっています。また、肥満も大敵です。肥満度が高まるほど、すい臓がんに罹るとのデータも出ています。

 ・遺伝

  家族に、すい臓がんを患った人がいる場合も、すい臓がんに罹りやすくなっています。こうした場合も、定期診断などが有効になります。

 すい臓がんの初期症状

 こうして見てくると、すい臓がんの発症の仕組みがわかってきますが、すい臓がんの初期症状とされるものだけで、すい臓がんを特定することはできません。初期症状は、腹痛、胃のむかつき、食欲低下、体重減少、背中の痛みなどですが、普通の病気と変わりません。がん細胞がすい臓の上皮細胞にとどまり、すい臓内に浸潤していない「ステージ0」で見つかる患者はほとんどいない状況です。ここに、すい臓がんの特殊性があり、病状の進行が早くて発見が遅れる要因があります。

 まとめ

 初期症状だけからはほとんど、すい臓がんを見つけることはできませんが、少しでも初期症状が出たら、CTやMRIなどの精密検査を受けることが必要です。特に、上記した原因である慢性膵炎、糖尿病、飲酒、喫煙、肥満、遺伝に悩んでいるようであれば、すい臓がんの可能性を疑う必要性がさらに高まります。定期健診で常に病気の有無をチェック、疑わしい点がでたら、すぐに精密検査を受けることが特に、すい臓がんの場合には有効です。

 トップのイラストは、「いらすとや」によります。

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