白川静博士や岡本綺堂 一定の量を毎日、規則正しくこなす 【偉人の生き方】 

 「知的生活を衰えさせないためのフィジカル・ベーシスは、知的なことをやる量がどれくらいかということではなく、毎日毎日規則正しく一定の分量をやれるかやれないかにかかっている」。

 上智大学の名誉教授だった渡部昇一さん(故人)は、著書「知的余生の方法」の中で、漢字学者の白川静博士の仕事術について、こう書いています。

 渡辺さんが、膨大な漢字字典を書いた白川博士に、「たまには温泉や旅行などに出て気晴らしでもされるのですか」と尋ねた時、白川博士は、毎日規則正しく仕事をし、規則正しく散歩することが「健康の秘訣」だと答えたのだそうです。

 渡部さんは、「毎日の規則正しい生活が、脳も規則正しく活動させるということだろう。そのためか脳細胞に全く衰えがない」と書いています。

 一定の量を毎日、規則的にこなす。この大切さは、「半七捕物帳」などで知られる小説家・劇作家の岡本綺堂(1872年-1939年)にも共通します。綺堂も、規則正しい生活で執筆活動に専念、これを創作の源泉にして、膨大な著作を残しました。規則正しい生活で、脳を常に最善に働かせたことがわかります。

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 綺堂の日記を読むと、一定のリズムに従って、執筆活動を続けたことが明確になります。東京日日新聞社(毎日新聞の前身)などに勤務した新聞記者時代には、記者の仕事が終わった後、歌舞伎の戯曲や小説を書いていましたが、41歳の時、記者を辞めて執筆に専念するようになると、毎朝7時頃に起床、書斎で執筆に集中し、来客との応対や雑用などをこなしました。夕方、入浴したら、夕食を取り、読書をして、午後10時くらいに就寝する日々を過ごすようになりました。

 毎日の就寝前の読書は、知の蓄積となりました。

 岡本綺堂日記には、時刻とともに、執筆や雑用、来客などの記述が几帳面につづられています。
 
 戯曲196編、小説130編などがこの生活の中で生み出されたことがわかります。同じ生活リズムを保ち、執筆に集中する。毎日の読書によって、知識や情報も蓄積していく。これらの地道な仕事の仕方が、綺堂の創作活動を支えました。

 規則正しく生活するというのは簡単そうに思えますが、実際に、継続することになると、実に難しいものです。意識して、規則正しく生活することが必要でしょう。

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