新聞の読み方のコツ 7つのポイントで情報力アップ 30年以上の記者経験から 基本編

 さまざまなニュースを網羅した新聞は、正確さや深い分析力、信頼性で、優れた情報源となっています。新聞を手にすれば、政治、経済、社会、国際、さらには、スポーツ、文化、趣味、悩みなどに関するニュースをすべて読むことができます。

 速報はもちろんですが、分析記事では、ニュースの背景に迫って問題点を浮き彫りにし、今後の課題、方向性も示してくれます。新聞が、多くのメディアの中でも信頼される由縁でしょう。

 そんな新聞ですが、どんな読み方をしたら、情報を役立てられるか気になると思います。新聞の読み方のコツを7つのポイントで解説しました。情報力をアップしましょう。この新聞の読み方のコツは、30年以上、新聞記者として働き、現在はジャーナリストとして原稿を執筆している私の経験からのものです。

 まずは、基本編です。また、新聞のすごさを実感した私の体験談も紹介します(写真は、トップの写真を除き、写真ACのものです)。

新聞の読み方のコツ 7つのポイントで情報力アップ

新聞の読み方のコツ ポイント1 新聞を俯瞰(ふかん)する

 朝、夕方に新聞を手にしたら、まず、新聞を俯瞰することが大切です。「目を通す」と言ってもいいでしょう。

 1面からページを次々にめくり、どんなニュースがあるのか、そのニュースがどんな風に書かれているのかをどんどんチェックしていきます。見出しや、ニュースの扱いの大きさ(見出しの段数)も参考になります。自分にとって、重要なニュースを見つけていく作業です。

 この際、新聞は、両手で新聞を持って広げるか、机の上に大きく広げると、新聞を俯瞰して読むことが出来ます。通勤中の電車の中などでは難しいですが、この新聞を俯瞰するという意識を常に持っていると、重要なニュースが見つけやすくなります。

 新聞記者は毎日、数紙、時には、10紙にも及ぶ新聞に目を通します。自分の担当する分野で、「抜かれた」記事がないかをチェックしながら、重要なニュース、面白いニュースを把握していきます。

新聞の読み方のコツ ポイント2 どんどん読んでいく

 新聞を最後のページまで目を通し、自分にとって、重要なニュースが見つかったら、どんどん読んでいきます。記事の部分に赤ペンでチェックを入れたり、付せんを貼っておくと、すぐに、読み始めることができます。

 できれば、記事の記事最後まで読みたいものですが、時間のない時は、見出しだけ、あるいは、記事の最初の部分だけでもいいでしょう。「こんな新しいニュースがあった」「自分の関心のある問題がこんなふうに発展した」などを気にかけながら読むと、ニューズがぐっと身近なものになります。

 また、読まないと決めた、あるいは、読むかどうか迷った記事は読まないことも大切です。時間は限られていますから、必要ないと思った記事は読まないようにします。

新聞の読み方のコツ ポイント3 重要な記事は読み返す

 新聞は一度、読んだら、あるいは、目を通したら終わりという方々が多いでしょう。しかし、これは、記事を生かすうえで、とても、もったいないことです。

 重要な記事は、何度も読み返すことで、重要なポイントを把握できます。また、新しい発見、着想を得ることもあります。逆に、最初、読んだ時に重要だと思った記事が案外、重要でなかったこともわかります。

 重要な記事を読み返す際も、新聞を俯瞰しながら読んでいきますから、最初、読んだ時に気にならなかった記事が、重要な記事によみがえることもあります。

 新聞はバッグなどに入れて置けば、スキマ時間に、すぐに取り出して読むことができます。新聞紙がボロボロになるまで読むと、新聞が自分の血肉になったことを感じることができます。

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新聞の読み方のコツ ポイント4 1面のコラムは必ず、読む

 1面のコラムは、新聞の「顔」ともなる記事です。

 朝日新聞の「天声人語」、毎日新聞の「余禄」、読売新聞の「編集手帳」、日経新聞の「春秋」、産経新聞の「産経抄」などがあります。

 これらのコラムは、記者歴の長いベテランの論説委員や編集委員が担当しています。ニュースに関する歴史や文化、逸話などを紹介しながら、ニュースの本質や背景、問題点などを解説しており、速報ニュースや他の解説記事とは違って、より深みのある内容になっています。

 また、これらのコラムの構成は、作文や小論文を書く際、参考になります。時に、原稿用紙に写して書いてみると、作文などの作成技術が向上します。

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新聞の読み方のコツ ポイント5 総合面の記事を読む

 2ページ、3ページ目の総合面には、ホットなニュースのまとめ記事が毎日、掲載されます。朝日新聞の「時時刻刻」、読売新聞の「スキャナー」、日経新聞の「真相 深層」などのタイトルで書かれている記事もあります。

 たとえば、読売新聞のスキャナーは、最近、以下のようになっています。

 9月25日朝刊 「コロナ相談 開業医不安」
 9月24日朝刊 「米中 対コロナ火花」
 9月23日朝刊 「酒税見直し ビールに追い風」
 9月22日朝刊 「ワクチン外交 中露もくろむ」
 9月21日朝刊 「菅流『堅実・改革』好感」

 見出しを見ただけでも、その時のニュースを取り上げて、深く分析していることがわかります。自分の興味のあるものを読んでいけばいいでしょう。興味がなければ、無理して読む必要はありません。

新聞の読み方のコツ ポイント6 社説を読む

 各新聞社の社説はまさに、社論を示したものです。海外の新聞に比べると、その主張は強くありませんが、ホットなニュースを新聞社として、どう捉えているかがわかります。新聞社によって、その捉え方はさまざまです。ニュースがどう発展していくかの指標を把握することができます。

 また、社説は、ホットなニュースを簡潔にまとめたうえで、原稿が書かれているため、ニュースのポイントを再度、確認するのに役立ちます。

新聞の読み方のコツ ポイント7 連載記事を読む

 随時、掲載される連載記事は、一つのニュースを深堀して書いているものです。速報ニュースだけでは書き切れなかった情報や、そのニュースの背景や問題点、さらには、今後の方向性が示されています。

 これも、社説や総合面の記事と同様、自分の興味のある記事を選んで読んでいくと、ニュースを深く理解することができます。

まとめ

 ポイントの1から3までが、速報ニュースの読み方です。その後のポイント4から7までが、まとめ記事の読み方です。速報ニュースで重要な、あるいは興味を持った記事を繰り返して読み、まとめ記事で、さらに理解を深めることが大切です。

 速報ニュース+まとめ記事で、情報力をアップしていくことです。その意味で、新聞は一度、読んだらもう必要ないという意識は捨てたほうがいいでしょう。特に、時間に追われて忙しいビジネスパーソンにとっては、効率的に新聞の情報を把握して、その情報を生かすかは、時に、仕事の出来を左右することもあるでしょう。
  
 記者による署名記事や、海外の新聞を読むことも役立ちます。特に、海外の新聞は、日本の新聞とは問題の捉え方が大きく異なることが多く、国際問題を理解するうえで、今や不可欠となっています。

■新聞のすごさを実感した体験談■

 私は定年退職した60歳代ですので、もう40年以上前の体験談になります。私が高校生の頃、過疎に関する調査で、長野県南部の山村を訪れたことがあります。その時、80歳代のおばあちゃんに会いました。

 そのおばあちゃんは朝、新聞(信濃毎日新聞)が自宅に届くと、1面から、1字1句残さず、記事を読んでいくと話していました。政治、経済、国際、社会、スポーツ、文化などの記事すべてで、新聞の下段に掲載されている広告記事も読むとしていました。

 「もう年寄りだから、新聞を読むのだけが楽しみ」と話していましたが、政治や経済、国際ニュースなどに関する質問をすると、具体的に、情勢を説明してくれました。記事の引用ではなく、自分の言葉で、やさしく説明してくれるのを聞くと、きちんとニュースの背景を理解しているのだと思いました。

 「新聞を毎日、丁寧に読み込んでいると、それだけで、専門的な情勢分析ができるんだ」と、その時、新聞のすごさを実感しました。私が新聞記者になりたいと思ったのは、そのおばあちゃんとの出会いがあったからです。

 40年前の話ですが、今にも通用するものでしょう。新聞の持つ力がわかります。

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