人生の生き方を説いた江戸時代の啓蒙書「養生訓」を読んでいると、著者の儒学者である貝原益軒が本の読み方として、古代中国の古典を重視して読み込んでいたことがわかります。引用された先人たちの豊富な名言はズシリと胸に響きます。
古典を読んで、心の楽しさを知る。こんなふうに説く貝原益軒の言葉にも重みがあります。
「養生訓」を書いた貝原益軒の本の読み方は?
「ひとり家にいて静かに日を送り、古書を読み、古人の詩歌を吟じ、香をたき、古法帖(古い名人の筆跡をうつした折)を見て楽しみ、酒を少量たしなみ、庭の畑でとれた野菜を煮たりするのも、みな心を楽しませ気を養うたすけになる」
「貧賤の人であってもこうした楽しみは、いつでもできることである。もしこの楽しみを知っていれば、富貴であってもこの楽しみを知らないひとよりは優っているといえるであろう」(「養生訓」伊藤友信訳)
貝原益軒はまさに、この通りの生き方をし、古典を読んだのでしょう。
益軒は14歳の時、次兄の存斎から、四書五経の手ほどきを受けて以来、九州の黒田藩の儒学者として、朱子学を学び、研究しました。朱子学は益軒の学問の中心だったものの、それだけにとどまることなく、陽明学、さらには朱子学を否定した古学も学びました。
「人の命は我にあり、天にあらず」(老子)
「福と禍とは、慎むと慎まざるにあり」(白楽天)
「人遠き慮りなければ、必ず近きうれいあり」(論語)
これらはほんの一例です。「養生訓」で引用されたのは、いい名言ばかりです。
まとめ
古典を読む。そして自らの人生経験に基づいて、思想を深める。貝原益軒の独創性がよく理解できます。「養生訓」は、そんな益軒の思想の集大成とも言えるでしょう。
大型書店に行けば、古典を手軽に読むことができる文庫や新書などがたくさんあります。古本屋で安く購入してもいいでしょう。古典を大いに読みたいものです。
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