「思考の整理学」(外山滋比古著)の要約と書評、感想 中 「つんどく法」の効果は?

 本を積んでおくと言うと、本が増えてきても読まないままにしておく、というマイナスのイメージがありますが、評論家でエッセイストの外山滋比古さんが245万部突破のロングセラー「思考の整理学」で提唱している「つんどく法」は、とてもプラス効果の高いものです。

 「つんどく法は文字通り、積んで、そして、読む勉強法である。そして、これがなかなか効果的である。昔の人は多くこの方法によっていたのではないかと想像される」

 外山さんは、自らのつんどく法について、こう書いています。

 テーマを決めたら、出来る限り多くの参考文献を集める。集められるだけ集めるまで読み始めない。資料が最大限集まったら、机の脇に積み上げ、片っ端から読んでいく。読むことに集中して、ノートやメモは取らない――。これが外山流のつんどく法です。

 1冊1冊読んでいくと、3冊目くらいから、重複するところが出てきて、これが、常識化した事柄、あるいは定説になっているものであることがわかるそうです。1冊目がもっとも読み終えるのに時間がかかるため、標準的なものから読むことが必要といいます。同じ問題の本をたくさん読めば、読まなくてもいい部分がわかるとしています。

「最初の1冊に3日かかったとしても、10冊で30日、などという計算にはならない。一気に読み上げるのは、案外、効率的である」と外山さんは書いています。

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 そして、もう一つ。読み終えたら、すぐにまとめの文章を書くことが不可欠なのだそうです。

 まさに、昔の人々が、こうして勉強してきたことが想像できます。

 私も、外山流のつんどく法に近い形で、あるテーマについて、勉強することがあります。特に、新聞記事をできるだけ多く集め、一気に読み、ポイントをまとめています。日本語の新聞だけでなく、欧米やアジアの新聞記事を集めると、世界からの視点もわかって、とても参考になります。

 基礎を学んだら、専門家の意見を聞けば、理解度は一層、増すでしょう。直接、専門家に会うことがベストですが、テレビやラジオで、専門家の意見に耳を傾けるのもいいと思います。

 国際問題で言えば、

 新型コロナウィルス感染防止問題
 地球温暖化対策
 ミサイル発射を繰り返す北朝鮮問題
 米中の覇権争い
 TPPやRCEPなどの巨大経済圏の誕生
 ポピュリズム(大衆迎合主義)の拡大
 
 など多くのテーマがあります。

 現状がどうなっているのか、今後の展望はどうか、など勉強することもたくさんあります。

 一度、勉強しておくと、その後の情勢も比較的、簡単に理解することができます。

 外山流つんどく法の良さをもう一度、かみしめ、自分のつんどく法に磨きをかけていきたいものです。

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