目黒行人坂の大火の現場を歩く 江戸三大大火の一つの火元・大円寺

 東京のJR目黒駅から目黒川に向かって行人坂を下りていくと、大円寺=写真=があります。江戸時代の明和9年(1772年)、この寺から火の手が上がった大火は、寺の前の坂をもじって、「行人坂の大火」と呼ばれ、江戸三大大火の一つになりました。

 本の「江戸を楽しむ」(今野信雄著)によると、江戸時代は火事が多く、江戸時代を通じて、約1600件の火事が発生、大火がそのうち約90件を占め、世界の火事史上でも群を抜いていたと言われています。

 最も多くの被害者(約10万7千人)を出したのは、「振袖火事」とも言われる明暦の大火(1657年)でしたが、「行人坂の大火」の明和の大火も、死者約1万4700人、行方不明者約4000人を出し、文化3年(1806年)の「車町の大火」と並んで、江戸三大大火の一つになりました。

 境内には、「行人坂の火事」で亡くなった人々を供養するために建立された石仏群があります。

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石仏群
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石仏群

 釈迦三尊像と、その両脇に、文殊菩薩と普賢菩薩、十大弟子、十六羅漢、そして、その背後に、491基の羅漢像が並んでいます。手を合わせ、犠牲者の冥福を祈りました。

 少し歩くと、目黒不動尊があります。目黒不動尊は江戸時代、五色不動(目黒、目白、目赤、目黄、目青)の一つとして、人々の信仰を集め、江戸近郊の行楽地として、にぎわったことも知りました。

 また、江戸後期には、最高千両(約1億円に相当)の賞金の富くじが庶民の間で人気となり、目黒不動尊は、湯島天神、谷中の感応寺と並んで、「江戸の三富」と言われ、親しまれたことも学びました。

 歩くだけで、史実を知ることができ、疑問がわいて、勉強になります。江戸時代の文化や出来事を、街歩きを通して知りたくなります。

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