
積乱雲が次々にできて大雨を降らす「線状降水帯」が梅雨の時期などにニュースになります。線状降水帯はいつから注目されるようになったのでしょうか。また、線状降水帯が発生しやすい場所はどこでしょうか。線状降水帯の発生のメカニズムも簡単に説明します。
線状降水帯はいつから注目されるように?
【今日の天気予報】
今日10日(火)は線状降水帯を発生させるなど活発な活動を続ける梅雨前線が、西日本から東日本付近に停滞します。関東から西の各地は雨の強まることがあり、九州では大雨による土砂災害などに厳重な警戒が必要です。https://t.co/VRE4kIcgZa pic.twitter.com/VsqJ4A7FgL
— ウェザーニュース (@wni_jp) June 9, 2025
線状降水帯は2014年8月、広島市で発生した豪雨で注目されるようになりました。この時、広島市では、3時間で220ミリの大雨が降り、70人以上が土砂災害の犠牲になりました。
集中豪雨の時、線状の強い雨域があることは知られていましたが、広島市の大量の雨と犠牲者で一気に線状降水帯が注目されるようになりました。
それ以後も、線状降水帯がしばしば発生しています。
2020年夏の熊本豪雨では、3時間に330ミリの雨が降り、球磨川が氾濫して、死者が出る土砂災害が起きました。この熊本豪雨がきっかけとなって、気象庁は2021年6月17日から、「線状降水帯」が発生した場合、警戒を呼び掛ける緊急情報の「顕著な大雨に関する気象情報」を発表しています。
2021年6月29日未明には、沖縄本島北部に線状降水帯が発生したとして、「顕著な大雨に関する気象情報」を発表しました。同情報が発表されたのは全国で初めてとなりました。
さらに、気象庁は2022年6月からは、積乱雲が次々にできて大雨を降らす「線状降水帯」の発生の可能性を半日前に予報しています。
「顕著な大雨に関する気象情報」は、
3時間の雨量が100ミリ以上の区域が500平方キロ以上にわたる
区域内に3時間の雨量が150ミリに達した場所がある
などの条件が満たされた場合、都道府県単位で発表されていますが、気象庁は2023年6月からは、これらの気象条件が満たされなくても、30分以内に、これらの気象条件が満たされると判断した場合は、「顕著な大雨に関する気象情報」を発表するようになりました。
全国20か所のレーダー網を駆使して、対応するものです。
2024年5月27日からは、都道府県別に、線状降水帯発生の情報を発表しています。
線状降水帯が発生しやすい場所は?
【九州など大雨に警戒を!】
九州北部では線状降水帯が発生して大雨災害発生の危険度が急激に高まる可能性が!
◆福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県
◆10日夕方にかけて
<11日朝までの予想雨量>
近畿:150ミリ
中国:120ミリ
九州北部:180ミリ
九州南部:120ミリ#線状降水帯 pic.twitter.com/wvW4KXrBLl— 日テレ【気象・防災】そらジロー (@ntvsorajiro) June 9, 2025
線状降水帯は九州や西日本で多く発生しています。ただ、積乱雲が線状に連なれば、日本のどこでも発生します。
2023年は、
29回、線状降水帯の発生情報である「顕著な大雨に関する気象情報」が気象庁によって発表されました。
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線状降水帯の発生のメカニズムは?
九州の皆様、大雨に十分お気をつけください。
前線が停滞するため大雨予報です。
6/9は九州南部、6/10は九州北部で降水量が増える見込み。特に九州南部では6/9昼前〜夜のはじめ頃に線状降水帯が発生して水害危険度が急激に高まる可能性があります。
最新の気象情報を確認して安全にお過ごしください。 pic.twitter.com/rjaF1IdtnM— 荒木健太郎 (@arakencloud) June 8, 2025
線状降水帯の発生のメカニズムも簡単に説明しましょう。
線状降水帯は、
南の海から暖かく湿った空気が陸に継続して流れ込む
その空気が山などにぶつかって上昇する
積乱雲が次々に発生する
積乱雲は上空の風に流されて移動する
次々に発生する積乱雲が線状に連なる
ことで発生します。いくつもの積乱雲が次々に列になって発生することになり、広範囲の地域で大量の雨を降らせます。
気象庁は、線状降水帯を
長さ50キロから300キロ
幅20キロから50キロ
高さ15キロ程度
の線状に延びる強い雨域と定義しています。
雨は数時間にわたって降り続け、降雨量は、数百ミリとなります。局地的な豪雨は、マスコミで、「ゲリラ豪雨」とも呼ばれます。
豪雨をもたらす積乱雲がいくつもいくつも相次いで発生するということを考えれば、線状降水帯のもたらす大雨は簡単にイメージできるでしょう。
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気象庁の線状降水帯の発生予測
【天気】6月10日(火)
⚠️九州に線状降水帯の予測情報鹿児島県:10日明け方にかけて
福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県:
10日明け方〜夕方にかけて… pic.twitter.com/Ewtsxyz6Tt— 藤枝知行(気象キャスター×妖怪博士) (@tomoyukifujieda) June 9, 2025
線状降水帯の発生予測はこれまで、難しいものでした。気象庁はレーダーで降雨量を監視していますが、積乱雲のもととなる水蒸気(暖かく湿った空気)を十分に観測できていなかったためです。特に、水蒸気は東シナ海などの海上で発生することが多くなっています。
このため、気象庁は、観測船2隻を海上に派遣して観測するとともに、国内で運航する民間のフェリーや貨物船など計16隻に海上での水蒸気の観測をしてもらうように要請しました。この結果、レーダーの精度向上も伴って、線状降水帯の発生を予報する態勢が整備されてきました。
プロが教える気象・天気図のすべてがわかる本 気象のしくみと基礎知識から、天気図の読み方、異常気 [ 岩谷忠幸 ]
まとめ
なかなか危ない降り方では…。
って思ってたら線状降水帯予測が発表されましたあす明け方から夕方にかけて
【長崎県に線状降水帯発生のおそれ】 pic.twitter.com/sdMzLt4Qii— 平地真菜 🎣気象予報士 (@mana_hirachi) June 9, 2025
線状降水帯が発生すると、雨量の多い集中豪雨となり、大きな被害が出る恐れがあります。気象庁の観測強化に期待するとともに、線状降水帯についての知識も日頃から、しっかり学びたいものです。
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