愛語(あいご)とは、どんな意味の禅の言葉? 「ありがとう」の言葉を大切に

 寺の住職で、庭園デザイナーも務める枡野俊明さんは著書「おだやかに、シンプルに生きる」の中で、「愛語」について書いています。愛語は、道元禅師の「正法源蔵」にでてくる禅の言葉で、「触れ合うひとたちに思いやりの心をもって接しなさい」「相手の気持ちを思い、優しい言葉をかけなさい」と道元禅師が説いていることを枡野さんが紹介しています。

愛語とは

 「人と人との関係の基本になるもの。それはやはり言葉ではないでしょうか。自分の考え方を伝えるのも言葉。相手の心を知るのも言葉。言葉のやり取りによって私たちは、互いの絆を作っているのです」

 「人と人をつなぐ大切な言葉を蔑ろにしてはいませんか。あなたが日々にかける言葉。その言葉を今一度思い返してください。あなたの言葉は誰かを傷つけていませんか。あなたの言葉に、相手に対する思いやりが欠けていませんか。自分の言葉ばかりで埋め尽くしていませんでしょうか。あなたが発した心ない一言。その一言を、あなた自身は忘れても、相手は忘れることはありません。それが言葉の重みというものです」

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 枡野さんが、愛語について、こう書いているのを読むと、私たちが日々、言葉の重要性を忘れがちであること、そして、逆に、言葉をもっと重視して使っていかなくてはならないことがわかります。

「ありがとうございます」という言葉を大切に

 「ありがとう」「ありがとうございます」は、愛語の代表的な言葉のひとつでしょう。私は約15年間、欧州各国に滞在しましたが、「ありがとう」「ありがとうございます」が社会の潤滑油になっているのをよく感じました。

Thank you very much.(英語)
Merci beaucoup.(メルシー・ボクー、フランス語)
Dank schon(ダンケ・シェーン、ドイツ語)
Muchas gracias(ムチャス・グラシアス、スペイン語)
Koszonom szepen(クスヌム・セーペン、ハンガリー語)
Multumesc(ムルツメルスク、ルーマニア語)

「ありがとうございます」の良さ

 欧州を離れて10年経っても覚えているのは、各地を訪れた際、それだけよく使ったということでしょう。完全なコミュニケーションまでには至らなかったかもしれませんが、自分から相手に心を開く姿勢は示せたのではないかと思っています。

 ところが、日本に帰って来ると、「ありがとう」「ありがとうございます」が欧州ほど使われない場面に出くわすことがあります。日本人の美徳とも言えますが、恥ずかしさや照れもあるのでしょう。「どうも」や「すみません」で代弁してしまうケースもあります。

 ちょっと、もったいないあと思います。

 私は、「ありがとうございます」をできるだけ多く使うよう心掛けています。たとえば、スーパーマーケットで買い物してレジで精算した時も、「ありがとうございます」と丁寧に言うようにしています。この時、レジの担当者は必ず、「ありがとうございます」あるいは「ありがとうございました」と丁寧に言葉を返してくれます。接客ですから当然でしょうが、その言葉のトーンはいくぶん、軽快です。

 そして、いつもではありませんが、「いってらっしゃいませ」「お気をつけて」「またのご来店をお願いいたします」などの言葉が返ってきます。気持ちよく買い物ができたなあ、と思えます。言葉のキャッチボールが成功した瞬間でしょう。

 「愛語」を実感するひと時となります。

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