男子ゴルフの松山英樹選手が、ジカ熱や治安の不安を理由に、リオデジャネイロ五輪出場を辞退 ブラジルの治安状況は?

 読売新聞などによると、男子ゴルフの松山英樹選手(24)が、ブラジルのジカ熱や治安の不安を理由に、8月5日から始まるリオデジャネイロ五輪出場を辞退しました。ジカ熱については、2013年1月、顔を虫に刺されて、あごが大きく腫れ上がったことなど、虫刺されに極度の反応が出やすい体質であることを挙げ、「苦渋の決断」として辞退を決めたことを語っています。松山選手は、治安については具体的に語っていませんが、ブラジルの治安はどういう状況でしょうか。リオ五輪には、多くの日本人も観戦に訪れることから、治安について調べてみました。(写真は、外務省の海外安全ホームページ)

 外務省の海外安全ホームページが大いに役立ちます。同省は、海外の危険情報を危険度の高い順に、「退避してください。渡航は止めてください(退避勧告)」のレベル4、「渡航は止めてください(渡航中止勧告)」のレベル3、「不要不急の渡航は止めてください」のレベル2、そして、「十分、注意してください」のレベル1、と4段階で分けていますが、ブラジルは、レベル1に相当します。

 レベル1だからと言って安心してはいけません。レベル1となること自体、相当、警戒して、渡航しなくてはなりません。

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 在ブラジル日本大使館のホームページは、「ブラジルは世界的に見ても非常に高いレベルで一般犯罪が発生しており、麻薬に絡む組織的な犯罪も多発しています。これらの犯罪の手口は凶悪で、多くの犯行に拳銃等の凶器が使用され、抵抗すると危害を加えられる可能性が高いです。観光地で美しい場所においても凶悪犯罪が多発しているため油断は禁物です」などと現地の治安状況を指摘しています。

 ホームページは、強盗、短時間誘拐、窃盗などの犯罪があることを説明し、①犯罪やデモの発生等の最新の治安情報を入手すること②2外出時には、単独行動はしない、夜間の外出は控える、人気のない所は避ける、目立たない服装に心掛け、貴重品は最小限にして分散所持する、カメラやスマートフォンは極力人目に付かないよう心掛ける③タクシーでの移動が比較的安全、ただし、白タクは利用しない④徒歩での移動は避ける――ことなどをすすめています。

 「泥 棒」(Ladrão=ラドラン)、「助けて」(Socorro=ソコーホ)などのポルトガル語は暗記しておくべきでしょう。

 在ブラジル日本大使館のホームページ

 日本ほど治安のいい国はあまりない、ということをまず、渡航にあたっては肝に銘じるべきでしょう。日本ではない外国に滞在するのだ、という意識を明確に持つことが重要です。常に、警戒することです。

 私は長年、海外で取材をしてきましたが、治安には常に、気を使ってきました。海外出張が決まったら、新聞で現地の事情を調査しました。今や、インターネットで、国名あるいは都市名を入れて検索すれば、すぐに、新聞記事が出てきます。日本の新聞だけでなく、現地の新聞を検索することができます。

 最近約1か月分くらいの記事を、テーマをもって読み込んでいきます。まずは、事件、事故です。それらが多ければ、治安が悪いことがわかります。新手の犯罪もあるかもしれません。外務省の海外安全情報も参照しながら読んでいきます。

 次は、ビジネス関係の記事です。自分の仕事関係を読むことはもちろんですが、マクロ経済を扱った記事にもじっくり目を通します。その国の経済状況が大体、どうなっているか把握することです。最後には、政治、社会、文化、歴史などの記事を読みます。これは、国全体が世界の中で、どんな位置にあるのかを知るためです。

 これらの記事をコピーしておき、飛行機に乗った時に見返します。情報は力であることを感じます。

 新聞による現地調査は初めてに訪問する時だけに限りません。2回目、3回目も、同じように新聞記事を読み込んで勉強します。刻々と変わる国内情勢をフォローするためです。

 現地事情を学ぶと言うと、本や教科書、参考書を活用して勉強するというイメージが強いですが、新聞は、さまざまな領域の出来事を報じています。その意味で、新聞は格好の教科書と言えます。

 最近、バングラデシュ・ダッカで、テロ事件が起き、日本人7人が犠牲になりました。パリやブリュッセルのテロと同様、最近では、「イスラム国」などのイスラム過激派グループが民間人をも標的にした事件を起こしています。通常の犯罪に加えて、危険度が増しています。細心の注意をして外国を訪れることが一層、大切になってきています。

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