パリ協定とは 簡単にわかりやすく解説 協定未達成の場合の問題点は?

 アメリカのジョー・バイデン氏が2021年1月20日、第46代米大統領に就任し、パリ協定に復帰する大統領令に署名しました。トランプ前大統領によるパリ協定離脱を覆したものです。パリ協定とは、どんな内容なのでしょうか。パリ協定が未達成の場合、発生する問題点も含めて、簡単にわかりやすく解説しました。

パリ協定とは 簡単に、わかりやすく解説

パリ協定とは

 パリ協定とは、2020年1月から適用開始となった地球温暖化防止のための国際的な枠組みです。パリ協定は2015年12月、フランス・パリで開かれた第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択され、翌年2016年11月に発効しました。

 世界の平均気温の上昇を、18世紀の産業革命の前に比べて、2度未満に抑えることを定め、1.5度以下とすることにも努力するよう規定しています。参加国・地域は5年ごとに、二酸化炭素(CO2)やメタン、フロンガスなどの温室効果ガスの削減目標を国連に提出することが求められています。

 COPは1994年に発効した気候変動枠組み条約に基づく国際会議です。1997年には、京都議定書を採択しました。同議定書は、温室効果ガスの削減を先進国、地域のみに求めたものでしたが、パリ協定は、温室効果ガスの排出が著しい途上国や新興国にも対象を広げました。

中国、アメリカの動向も焦点 

 パリ協定は、先進国、地域や、途上国、新興国を対象とするものになりましたが、同時に、温室効果ガスのち最も多いCO2の排出量が世界第1位の中国、同第2位のアメリカの動向も大きな焦点となっています。

 2017年の世界各国のCO2排出の比率を見ると、全世界の排出量の割合は以下のようになっています。

 中国   28%
 アメリカ 15%
 EU    10%
 インド   7%
 ロシア   5%
 日本    3%
 韓国    2% 

 パリ協定は、採択から発効まで1年弱のスピードで進みましたが、これは、アメリカのオバマ大統領と中国の習近平主席がけん引役となって、世界各国に働きかけた結果です。

 しかし、オバマ大統領の後任、トランプ大統領は、自らの支持基盤の石炭産業を保護する立場から、「パリ協定は非常に不公平なもので、米経済に悪影響を及ぼす」として、2017年6月、パリ協定の離脱を表明しました。その後、トランプ政権は2019年11月4日に離脱を国連に通告し、1年後の2020年11月4日に、パリ協定から離脱しました。

 世界が一丸となって、温室効果ガスの削減に取り組もうとしていた機運は一気に削がれました。

アメリカで、ジョー・バイデン氏が大統領に就任

 しかし、アメリカでは、ジョー・バイデン氏が2021年1月20日、大統領に就任し、パリ協定に復帰する方針を示しました。パリ協定がもとの形に戻りました。

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カーボンニュートラルの動き

 この中で、注目されるのが、地球温暖化防止のためのカーボンニュートラルの動きです。温室効果ガスの排出量を、CO2を吸収する植物の光合成によってゼロにしてしまおうというものです。「実質ゼロ」とも呼ばれます。

 温室効果ガスが増えたとしても、森林を整備すれば、温室効果ガスをゼロにすることが可能になります。

 これまでに、世界で日本を含む123の国、地域がこのカーボンニュートラルの方針を示しています(日本は2020年10月に表明)。2050年までのカーボンニュートラルを目指しています。

 アメリカはカーボンニュートラルについての方針を示していませんが、中国は、2060年までにカーボンニュートラルを実現することを表明しています。

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パリ協定未達成の場合の問題点は?

 世界の平均気温は2017年、産業革命前より1.1度上昇しました。もし、パリ協定が達成されないと、

 海水の減少
 島しょ国の海面上昇による国土消失
 氷河減少
 干ばつ増加
 森林火災の増加
 異常気象

 などが起きる可能性が高まります。

まとめ 

 当面は、CO2排出量第2位で、パリ協定に復帰したアメリカがどう動くかが注目されます。地球温暖化は大きな問題ですから、温暖化に関するニュースもしっかり把握していきたいものです。

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