イギリスの欧州連合(EU)離脱 新語の「ブレグジット」や「ブレグレット」などを通して、現状や展望を探る

 イギリスは6月23日の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めました。この中で、「Brexit(ブレグジット)」や、「Bregret(ブレグレット)」などの造語が新しく生まれています。新語を通して、現状と今後の展望を考えてみました。

 Brexit(ブレグジット)

 Britain(英国)と、Exit(離脱)を組み合わせた造語です。まさに、英国のEU離脱を表現した新語で、英国は国民投票の結果、離脱51.9%。残留48.1%で、EUからの離脱を決定しました。1993年の欧州連合(EU)発足以来、中・東欧諸国などへの拡大を続けてきたEUにとって、初めての離脱で、EU加盟国や国際社会に大きな衝撃を与えました。

 Bregret(ブレグレット)

 Britain(英国)と、Regret(後悔)を組み合わせた造語です。英国では6月23日の国民投票まで、離脱、残留派が拮抗していました。国民投票後もEU残留を望む人々や、EU離脱に一票を投じたものの、それを後悔する人々も多く、離脱決定を後悔する動きを表現しています。国民投票のやり直しを求める署名運動も高まっています。スコットランド、ロンドン市にはEU残留を望む人々も多く、しばらく、英国政局は分裂の危機を含みながら、混乱が続きそうです。

 Nexit(ネクジット)、Frexit(フレクジット)

 Netherlands(オランダ)とExit(離脱)を組み合わせた造語と、France(フランス)とExit(離脱)を組み合わせた造語で、オランダ、フランスのEU離脱の動きを表現した造語です。Brexitと同様の発想で生まれたものです。2017年3月に、オランダ議会選挙、同5月には、フランス大統領選挙が行われます。オランダでは、極右・自由党、フランスでは、極右・国民戦線がそれっぞれ伸張しており、選挙で勝った場合は、英国と同じような国民投票を実施することを訴えています。英BBCによると、フランスの国民戦線のルペン党首は、「英国のEU離脱は、(社会主義諸国陣営破たんの)ベルリンの壁崩壊(1989年)以来、最も、重要な出来事になった」と語っています。

 Czexit(チェクジット=チェコのEU離脱)、Grexit(グレジット=ギリシャのEU離脱)の新語もできています。また、イタリア、スウェーデンでも反移民を訴える極右勢力が伸びています。

 最悪の場合、EU離脱に追随する加盟国が増え、EU解体の事態もあり得ます。その場合、日本のGDPはマイナス2~3%に陥るとの試算も出ています。

 欧州のメディアはいつも、政治、経済の動きをとらえて、センスのいい造語を考え出します。今後、どんな新語が生まれるのか、欧州情勢を占う上でも、目を離せません。

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