欧州議会選挙のやり方は? イギリスのEU離脱問題はどう影響するか 【わかりやすく国際ニュース】

 欧州議会の選挙が5月に行われます。同議会は、欧州連合(EU)の立法機関で、5年に1度、加盟28か国で議員を選ぶ選挙が行われます。イギリスのEU離脱問題はどう影響するのでしょうか。欧州議会の役割も含めて、選挙のやり方を探ってみました。

 ◇日程

 今回は、5月23日から26日にかけて加盟国ごとに投票が行われます。

 ◇定数、任期は?

 現在は、定数は751議席です。加盟国の人口比に応じて、各国の議席数が割り当てられています。最も人口の多いドイツを筆頭に、以下のような議席配分となっています。

 ドイツ    96
 フランス   74
 イギリス   73
 イタリア   73
 スペイン   54
 ポーランド  51
 ルーマニア  32
 オランダ   26
 ベルギー   21
 ギリシャ   21
 チェコ    21
 ポルトガル  21
 ハンガリー  21
 スウェーデン 20
 オーストリア 18
 ブルガリア  17
 デンマーク  13
 フィンランド 13
 スロバキア  13
 アイルランド 11
 クロアチア  11
 リトアニア  11
 スロベニア   8
 ラトビア    8
 エストニア   6
 キプロス    6
 ルクセンブルク 6
 マルタ     6

 こう見ると、改めて、大国の発言力が大きいことがわかります。また、英国の占める位置も明確になります。英国がEUから離脱する意味も推測できます。

  任期は5年です。

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 ◇選挙のやり方は?

 比例代表制の直接普通選挙で、各国の有権者が支持する自国の政党に一票を投じます。EU市民の民意が反映される形となっています。各政党が獲得した票数に応じて、議席が割り当てられます。

 議員は各国別に選ばれますが、欧州議会では、政治信条の近い欧州横断の政党グループに所属します。主要5グループの議席は以下のようになっています。

 中道右派の欧州人民党(EPP)   217議席
 中道左派の欧州社会・進歩連盟  187議席
 欧州保守改革連盟         75議席
 欧州自由民主連盟         68議席
 緑の党・欧州自由連盟       52議席 

 ◇役割は?

 EUの行政執行機関である欧州委員会に対する諮問・監督機関としての役割がありますが、次第に、閣僚理事会と共同で立法する権限が強くなってきています。

 EU発足当初は、閣僚理事会が、欧州委員会の提案する政策を審議、決定していましたが、欧州統合の深化の中で、欧州議会にも立法権が移ってきた形です。そのほかの役割は以下の通りです。

 ・EU予算案の修正・決定
 ・EU決算の承認
 ・条約の承認
 ・欧州委員の承認

 欧州議会が存在感を強めていると言えます。 

 ◇イギリスのEU離脱問題はどう影響するか

 EU加盟国は、イギリスのEU離脱を受けて、5月の欧州議会選挙は、英国からは議員を選出せず、各国の人口比を再検討したうえで、定数を751から705に減らして行う予定でした。しかし、英国では、EU離脱協定案が2回、下院で否決されており、離脱日の3月29日を延長する動きが出ています。

 EU側は、6月30日までに英国が離脱するのであれば、英国が欧州議会選挙を行う必要はないとしているものの、6月30日を過ぎてEUを離脱する場合は、英国でも5月の欧州議会選挙を実施しなくてはならないとの立場を取っています。

 また、前回2014年5月の欧州議会選挙では、EUの政策に反発する極右や急進左派が大きく伸びました。今回の選挙でも、反EU、反移民を政策に掲げるポピュリズム(大衆迎合主義)政党が支持を集めています。英国のEU離脱問題の解決が長引けば、これらの政党がさらに勢力を拡大するのではないかと見られています。

 英国のEU離脱問題は、欧州議会の勢力図にも影響を与えています。

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