スリランカの最大都市コロンボなど3都市で2019年4月21日、同時爆破テロが起き、死者は300人を越えました。テロ事件は、イスラム過激派組織による犯行と見られています。テロの標的になったのは、キリスト教会や高級ホテルなど8か所で、ソフトターゲットと呼ばれる場所でした。
ソフトターゲットとは、どんな場所、施設を指すのでしょうか。常に、テロ対策を万全にしておく必要があります。外務省の「たびレジ」などで最新の情報を入手するといいでしょう。
◇ソフトターゲットとは?
警備や警戒などが比較的緩い施設や場所、市民などの標的を指します。具体的には、劇場や映画館、レストラン、ホテル、市場など多数の人が集まる施設などが対象です。
これに対して、軍基地や軍事施設、兵舎などは警備などが厳しく、攻撃が難しいため、ハードターゲットと呼ばれます。ソフトターゲットは、ハードターゲットとともに軍事用語ですが、テロの激化で一般用語としても定着してきました。
◇なぜ、ソフトターゲットがテロの対象に?
攻撃のしやすさが一番の理由です。ほぼ無防備な施設、人物などが対象ですので、テロが失敗に終わる可能性がとても低くなっています。また、多くの人々が集まる場所で一度、テロを起こせば、死傷者も増えるため、テロ組織の主張、脅威を一挙にアピールすることもできます。
スリランカで発生したテロでも、自爆テロが企てられました。
◇過去のソフトターゲットへのテロ事件
ソフトターゲットを狙ったテロは増加傾向となっています。主要なテロは以下の通りです。
2015年11月 フランス・パリ市内の劇場でのテロ事件 130人死亡
2016年 3月 ベルギー・ブリュッセルの国際空港でのテロ事件 32人死亡
2016年 6月 米コロラド州オーランドのナイトクラブでのテロ事件 49人死亡
2016年 7月 バングラデシュ・ダッカの飲食店でのテロ事件 20人死亡
2017年 3月 英国ロンドンのウェストミンスター橋で、車両が歩行者に突入 5人死亡
2017年 4月 スウェーデンのストックホルム市内で、車両が歩行者に突入 5人死亡
2017年 5月 英国マンチェスターのコンサート会場で自爆テロ 22人死亡
2017年 6月 英国ロンドン市内の橋で車両が歩行者に突入 8人死亡
2017年 8月 スペイン・バルセロナ市内で車両が歩行者に突入 16人死亡
2017年10月 米国ニューヨーク市内で車両が自転車レーンに突入 8人死亡
2018年 5月 フランス・パリ市内で男が通行人を襲撃 1人死亡
2018年10月 米国ピッツバーグのユダヤ教会堂で銃撃 11人死亡
2018年12月 フランス・ストラスブールのクリスマスマーケットでテロ事件 5人死亡
2019年 3月 ニュージーランド南部のモスクで銃乱射テロ 50人死亡
などが起きています。
◇トラックで突っ込む
2016年7月14日のフランス革命記念日には、仏南部ニースの遊歩道で、男性が大型トラックで大群衆の中に突っ込み、銃撃するという事件が起き、少なくとも84人が死亡、202人が負傷しました。
犯行声明は出ていませんが、この事件は、トラックを「凶器」にするという新たなテロ事件の一形態を示しました。この事件以降、車両を「武器」にしたテロがたびたび起きています。上記のリストでもよくわかります。
◇テロ対策
テロ対策を万全にしたいものです。最新の現地情報を入手し、テロの危険性に備えなくてはなりません。
まずは、外務省の「たびレジ」を活用するといいでしょう。
「たびレジ」は、外務省が、ビジネス出張者や観光客ら海外への短期滞在者を対象に、渡航先の安全情報をメールで提供してくれるものです。渡航者は外務省のホームページにアクセスし、自分のメールアドレスをはじめ、旅行日程、滞在宿泊場所、電話番号などを入力すれば、
・滞在先の在外公館の連絡先
・滞在先の最新海外安全情報
・緊急一斉通報
などが随時、送られてきます。
滞在先の在外公館の連絡先は、電話番号やメールアドレスなどです。最新海外情報は、事件や事故、災害状況などが随時更新され、最新の情報が網羅されています。緊急一斉速報は、緊急事態が発生した場合、連絡メールや避難情報などが送られてきます。
家族や知人らのメールを登録することもできます。また、企業が海外出張者のために、出張者のメールアドレスを登録することも可能です。日本への帰国後、1か月が経過した時点で、登録者の情報は消去されます。
たびレジは、2013年1月、アルジェリアで発生した在留日本人に対するテロ事件をきっかけに、2014年4月からスタートしました。3か月未満の短期旅行の場合、旅行者は在留届を渡航先の在外公館に提出する義務はありませんが、情報に接する機会が限定されるため、在留邦人と同様の情報を提供することを最大の狙いにしてきました。
たびレジのホームページはこちらです。
◇旅行ガイドブック
旅行ガイドブックには、巻末などに、渡航先の安全情報が載っていることがあります。観光の場合は、どこを訪れるかが大きな関心事になりますが、その前に、安全情報を把握しておくのがいいと思います。
◇世界年鑑
もっと安全情報の精度を高めるのであれば、渡航先の国の政治、経済、社会状況などを、年鑑で事前に学んでおくことが役立ちます。その中で、もっともお勧めできるのが、共同通信社が発行している「世界年鑑」です。
政治、経済、社会など渡航先の国の状況を押さえることはは、その国の全体像を知ることになり、安全状況も明確になってきます。安全状況は、一国の全体像を把握してこそ理解を深めることができます。
◇最後に
「ソフトターゲット」を狙ったテロが増える中、渡航先は、治安がいいとされる日本とは違うのだという意識を改めて持つことが大切です。予想外の事態が起き得るとして、いつも情報のアンテナを鋭くしておく必要があります。自分の身は自分で守る、ということを心がける必要があります。
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