欧州に駐在していた時、共通通貨・ユーロの導入(1999年1月)に出会い、その流通(2002年1月から)を目にしました。また、最近は、江戸時代初期、米経済から貨幣経済に移行したことを、「江戸商人の経済学」(童門冬二著、丸善ライブラリー)で読みました。そんなことから、通貨、貨幣に興味を持っており、東京・日本橋本石町にある「貨幣博物館」に行ってきました。
情報量の多さに驚きました。一つ一つ読んでいけば、豊富な知識を身に付けることができます。会社時代、貨幣博物館は会社の近くでしたが、立ち寄ったことはなく、もう少し早く、訪れていれば、と後悔しました。
「ここにあるのは、お金の歴史です」とうたわれているように、古代(7世紀~12世紀半ば)、中世(12世紀半ば~16世紀後半)、近世(16世紀半ば~19世紀後半)、近代(19世紀後半~20世紀)、現代に分けて、日本の貨幣の歴史が一気に学べます。
古代では、7世紀末から10世紀半ばまで、金属製のお金(銭貨)が発行されたものの、10世紀以降は貨幣が発行されなくなり、米や絹、麻の布などが貨幣の役割を果たしたことが説明されています。日本初の金属の鋳造貨幣「富本(ふほん)銭」なども展示されています。
中世は、中国から流入した銭貨(渡来銭)が使われるようになったこと、近世は、江戸幕府が金貨、銀貨、銅貨を発行、日本独自のお金が全国で流通したこと、さらには、近代では、新しい貨幣制度が整備され、統一通貨「円」が導入され、日本銀行が発行する銀行券が全国で流通するようになったことなどが解説されています。
宋銭や明銭(中世)、甲州金、石州銀、慶長大判、元禄小判(近世)、国立銀行紙幣、政府紙幣(近代)など実際に使用された貨幣、紙幣も展示され、その時代の貨幣経済の様子も理解することができます。
江戸時代の貨幣制度、金座の歴史、江戸時代の1両は今のいくら?、明治初期の貨幣増発と整理、金座跡地と日本銀行、日本銀行券の愛称、お札の肖像など、読み応えのあるコラムもたくさんあります。
一部はパンフレットになっており、これからじっくり読んで、勉強したいと思います。これだけでも、貨幣に関する理解は深まるはずです。提示内容が1冊の本になっていたら、いいなあ、とも思いました。
これからも時々、貨幣博物館を訪れるつもりです。まずは、日本の貨幣ですが、共通通貨「ユーロ」を導入した欧州をはじめ、米国や中国、アジアの国々など通貨などについても調べたら、面白いだろうなあ、と思っています。