日本人はかつて、世界でどんな活躍をしてきたのか。また、日本人は世界の人々にどう見られてきたのか。そんなことに興味を持っていたら、その一端を知ることができる、格好の本が出版されたことを知り、購入しました。「世界が称賛!『すごい日本人』」(三笠書房知的生き方文庫、ニッポン再発見倶楽部著)です。「世界を救った」「世界を変えた」「世界を驚かせた」「世界を導いた」「世界を魅了した」の5章にわたり、総勢50人の「すごい日本人」が紹介されています。
高品質で使い勝手のいい製品、おいしくて安全な食べ物、マンガやアニメ、音楽やファッションなど日本の「もの」は世界で評価されているが、日本の「人」はどうなのか、というのが本執筆の原点になっています。「はじめに」で、執筆陣はこう書いています。そのうえで、執筆陣は、同じ「はじめに」で、「日本人の中から50人を厳選し、世界から称賛される理由をわかりやすくコンパクトに紹介しています。・・・日本人としてはぜひ知っておいてほしい『すごい日本人』ばかりです。彼らの志と行動を知ることで、私たち自身が、なにか”変われるきっかけ”になれば」と書いています。
第2次世界大戦中、任地のリトアニアで日本へのビザを独自判断で発給し、6000人の亡命ユダヤ人を救った杉原千畝
地球規模で人類を救い、自らも黄熱病に罹患してガーナで没した細菌学者の野口英世
「携帯する音楽」という革命を成し遂げ、ブランド「ソニー」を立ち上げた盛田昭夫
世界に「ZEN(禅)」を普及させた鈴木大拙
「インスタントラーメン」の開発者の安藤百福
国際舞台で「武士道」の精神を説いた新渡戸稲造
藩財政を改革し、「なせば成る」を体現、米ケネディ元大統領も崇敬した米沢藩藩主の上杉鷹山
世界柔道の父、嘉納治五郎
わびさびの日本人の美意識を創った千利休
マンガとアニメの日本サブカルの大黒柱となった手塚治虫
50人の物語は、おもしろいものばかりです。1人の日本人について各4ページとコンパクトですが、日本人がどんな活躍をし、評価されたか概観できます。興味を持った人物については、本や資料を読み、自分なりに研究していけばいいでしょう。
そんな中、特に関心を持ったのは、昨日のブログでも書いた江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎です。昨日も、北斎はゴッホらに影響を与えたことを書きましたが、具体的に、作品にどう、影響を及ぼしたかもわかりました。ゴッホは、北斎の「富嶽三十六景」をもとに、「星月夜」を、ドガも「北斎漫画」を参考に人物像をそれぞれ描いたといいます。また、フランスのガラス工芸家ガレは「北斎漫画」の鯉を花瓶の図案に取り入れました。ドビュッシーは「富嶽三十六景」をヒントに、交響詩「海」を作曲しました。
19世紀中ごろから20世紀初頭にかけて欧米で、「ジャポニスム」というムーブメントが起こりましたが、その中心人物が葛飾北斎だったのだそうです。北斎が先導したジャポニスムとはどんなものだったのか、もっと詳細に調べたくなりました。
ゴッホやドガ、セザンヌ、ゴーガンの絵1枚1枚に、北斎の影響がどう現れているのかという視点で鑑賞しても面白いでしょう。ドビュッシーの交響詩「海」も聞こうと思います。「世界が称賛!『すごい日本人』」の本は、興味を深める第一歩になりそうです。