人工知能(AI)は私たちの生活を大きく変えそうです。そんな時代の変化を予兆させる記事が、本日5月20日の日経新聞朝刊記事です。これまで、パソコン向け、スマホ向けの検索サービスでリードしてきたグーグルですが、ポストスマホをにらんで、AIに軸足を置いた成長戦略を加速するとしています。記事から、ポイントをまとめてみました。
ポイント1 米グーグルがスマートフォン(スマホ)の「次」を見据えた成長戦略を加速。
ポイント2 その中心は急速に進歩するAIで、AIを活用した対話アプリや音声認識端末を発表した。
ポイント3 対話アプリは今夏からの「アロ」。受け取ったメッセージや写真をAIが自動で解析し、返信のコメントを提案する「スマートリプライ(賢い返信)」機能が目玉となっている。音声認識端末は家庭向けの「ホーム」で、端末に話しかけるとインターネットにつながったAI「グーグルアシスタント」が利用者の知りたい情報を検索したり、照明や家電を操作したりする。
ポイント4 対話アプリや家庭向け音声認識端末は、米国のフェイスブックやアマゾン・ドット・コムが先行しているが、グーグルは自然言語理解や音声認識というAIの強みを生かして追い上げる。
ポイント5 グーグルは専用半導体「TPU」も自社開発した。従来の半導体に比べて、消費電力あたりの性能は10倍。「最高のソフトウエアは、最高のハードウエアがあって初めて最大の性能を発揮できる」とAI開発責任者のジェフ・ディーン氏。
解説 AIの開発・研究は1956年から始まりましたが、その技術が最近、次々に発表され、AIが注目されています。その中で特に重要なのは、人間の脳と同じように情報を処理する「深層学習(ディープラーニング」と呼ばれる技術です。大量のデータを自ら学習、判断し、行動に移します。すでに、画像や音声認識で人間に近づきつつあります。グーグルがAI開発に乗り出すことで、AIは実用化に向けて大きく動き出しそうです。
60年のAIの歴史を見ると、AIがどんどん進化していることがわかります。東大合格を目指すAIロボットや、W杯優勝チームを破るAIロボットの開発・研究も行われおり、その結果も今後、出て来るでしょう。京都大学大学院の中西寛教授は、産経新聞の「正論」(3月29日付)で、アルファ碁が韓国人のトップ棋士に勝ったことについて「画期的な出来事で、21世紀において人工知能が重要な産業分野を切り開く一里塚になるかもしれない」と述べています。
ただ、中西教授は、「チェスや囲碁、将棋といった『「完全情報ゲーム』はコンピューターが最も取り組みやすいテーマ」であり、「まだ人間の過去の棋譜情報が基礎になっている点で人間の後追いをしているにすぎない。人口知能に対してトップ棋士が十分に練習を積み、人間に対しては打ちそうもない非常識な手を打てば、案外弱点があるかもしれない」「完全情報ゲームでも人口知能が人類を完全に上回った訳ではない」として、今後は、人工知能と人間がどのように協働すればいいかが課題になることを指摘しています。
AIに関する年表
1956年 米国の大学で、コンピューター関係者が会議。高速な演算だけでなく、人間のような情報処理もコンピューターでできないかを討議し、ジョン・マッカーシー博士がそんな機能を「人工知能(AI)」と名付ける。
1997年 米IBMのAI「ディープ・ブルー」がチェスの世界チャンピオンに勝利。
2011年 IBMのAI「ワトソン」がテレビのクイズ番組で、チャンピオンに勝利。
2014年 AIがプロ将棋棋士に勝利。
2016年 グーグルのAI「アルファ碁」が韓国人のトップ棋士に勝利。
面白かった5月20日の主な国際ニュース
K-POP 異業種に活路
韓国の大手芸能事務所が、日本での韓流冷え込みに応じて、レストラン経営や化粧品の販売など異業種に参入している。アーテイストの知名度を生かし、収益源を多角化している。(読売新聞)
コロンブスの手紙 「新大陸」から帰還
(朝日新聞)
被爆者と面会「不可欠」
オバマ氏広島訪問で潘氏
(神奈川新聞、共同通信が国連の藩基文事務総長と単独会見)
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