シンガポールが米朝首脳会談の開催場所になった理由は? 高級ホテルでの開催決まる 国際政治の舞台裏を探る【わかりやすく国際ニュース】

 米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長による米朝首脳会談が6月12日、シンガポールで開催されることになりました。シンガポールが開催場所に決まった理由は何でしょうか。国際政治の舞台裏を探ってみました。

 ◇中立性

 シンガポールが開催都市に選ばれた最大の理由は、その中立性にあります。シンガポールは1966年に米国と、1975年に北朝鮮とそれぞれ外交関係を結んでいます。米国、北朝鮮はシンガポールに大使館を持っており、米朝首脳会談の開催地に向けて、最終調整しやすかったと言えます。

 ◇治安・警備面
 
 その中立性に加えて、シンガポールの治安の良さ、警備のしやすさが評価されました。

 シンガポールは林立する超高層ビルに代表されるように、アジアでトップクラスの近代都市です。街角や、公共施設、住宅、電車、駅などに監視カメラが多く配備されています。警察も統制が取れているとされています。

 ◇様々な国際会議開催

 2015年、中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統(当時)が会談したのをはじめ、北朝鮮の核問題をめぐる国際会議、アジア安保会議などが開催されてきており、国際会議開催の実績があります。運営面で慣れており、不安が少なかったと言えます。

 首脳会談に向けては、米国、北朝鮮の外交官や、世界各国メディアのジャーナリストらがシンガポール入りすると見られますが、ホテル機能も充実しており、混乱が少ないとされています。

 ◇会談場所は?

 米国ホワイトハウスのサンダース報道官は6月5日、首脳会談が、シンガポール南部セントーサ島の高級ホテル「カペラ・シンガポール」で開催されることを明らかにしました。島に通じる道路は1本だけで、やはり、警備のしやすさが場所に選ばれた理由と見られます。北朝鮮が、セントーサ島を希望していたと伝えられています。

スポンサードリンク

 ◇他の候補都市が開催場所から落ちたのは?

 今回の米朝首脳会議に関しては、シンガポールのほか、以下の都市が候補に上がりました。

 ・米国の首都ワシントン、北朝鮮の首都平壌
 ・モンゴルの首都ウランバートル
 ・韓国、北朝鮮の軍事境界線にある板門店
 ・スイスの首都ジュネーブ
 ・スウェーデンの首都ストックホルム

 しかし、以下のような理由で候補場所から落ちました。

 ・米国、北朝鮮の首都や板門店では、中立性に欠ける。
 ・ウランバートルでは、治安面に問題がある。
 ・ジュネーブ、ストックホルムでは、北朝鮮から遠すぎる。金委員長は、旧ソ連で製造されたイリューション62Mの改造機を専用機として使用していますが、後続距離に不安があり、北朝鮮から4800キロのシンガポールの方が適しているとされました。

 ◇米政権の舞台裏

 米国からの報道によると、米国のトランプ政権は当初から、シンガポールを第1候補に挙げて、北朝鮮や関係国と調整を続けてきたといいます。

 しかし、トランプ大統領は、板門店で4月末に行われた南北首脳会談を目にして、板門店で米朝首脳会談を開催すれば、歴史的偉業を強調できるとして、板門店での開催を重視するようになったそうです。

 これにあわてたのが、ポンペオ国務長官やボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)らの側近です。板門店での開催では、北朝鮮に歩み寄り過ぎという誤ったメッセージを送りかねないとして、トランプ大統領を説得したといいます。

スポンサードリンク

D20 地球の歩き方 シンガポール 2018~2019

新品価格
¥1,620から
(2018/5/12 04:21時点)

スポンサードリンク