睡眠不足が少しずつ蓄積して、病気やストレスなどを引き起こす睡眠負債が問題になっています。睡眠負債とはどんな状態で、どんなリスクがあるのでしょうか。また、睡眠負債に陥らないためには、日頃、どんな睡眠を心がけたらいいのでしょうか。小さな睡眠不足を軽視しない、そして、睡眠負債を解消する5つの対策を考えてみました。
◇睡眠負債とは?
米国の睡眠の専門家が最初に指摘した問題です。日々の睡眠不足は少なくても、その不足が短期、中期、長期にわたって積み重なった状態を指します。その不足が増えれば増えるほど、問題は重大になるという意味で、「負債」というイメージがぴったりきます。
お金に例えて、負債を考えると、睡眠の大切さがわかります。
◇どんなリスクが?
睡眠負債になると、生活習慣病やガン、心臓病などにかかるリスクを高め、寿命を縮めることになりかねません。ストレスでうつ病などの心疾患になる恐れもあります。集中力も落ちますから、仕事の効率が低下することも考えられます。
負債ですから、睡眠の足りない分は寝だめすることも可能でしょうが、睡眠不足の本質的な問題解決にはなりません。
◇睡眠負債を解消するには
では、睡眠負債に陥らないためにはどうしたらいいでしょうか。
毎日、睡眠を過不足なく取ることが大切になります。しっかり寝て、しっかり活動するリズムを整えることです。目覚めスッキリ!自然の法則を重視して、誰でもできる5つの対策を紹介します。
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◇5つの対策は?
1.毎日、同じ時間に起きて、同じ時間に寝る
起床寝時間と就寝時間を同じにすることが大切です。朝になったら、目覚める。夜になったら眠くなる。私たちの身体には、こういった1日の生活リズムを調整する「体内時計」が備わっています。起床、就寝時間を一定にすることで、この「体内時計」が狂うことがなくなり、深い睡眠を取ることができるようになります。
仕事などが忙しくて、なかなか大変かもしれませんが、日々の時間をうまく調整して、1日の最初となる起床時間と、ベッドに入る就寝時間を同じにしましょう。朝、目覚めたら、太陽の光を浴びることで、セロトニンと呼ばれるホルモンが活性化し、活動への意欲を高めてくれます。
日々を過ごし、その時間が来たら、自然と眠くなうようにリズムを作ることです。習慣になれば、睡眠しやすく、睡眠の質を高めることもできます。不眠への悩みも解消されるでしょう。
自分の時間割を作成したらどうでしょうか。学生ではないのに、という抵抗もあるかもしれませんが、自分の生活を見直すうえで、とても効果的です。無駄にしている時間も発見できます。
時間割作成の上では、特に、早寝早起きがお勧めです。太陽が出たら起きる。陽が落ち、夜になって暗くなったら眠る。これは人間の歴史が始まって以来の大原則です。睡眠を取ったクリアな頭脳で、仕事や家事、勉強などを始める。精一杯、仕事などをしたら、睡眠を取って、疲れを除く。1日1日を大切に過ごせるだけでなく、人生を大きく変える転機にもなるでしょう。
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2.昼間には、精一杯、活動して、適度な疲れを
疲れたら、眠くなるのは自然の原理です。昼間、精一杯、仕事や家事、勉強などに取り組むことによって、適度な疲労感を得れば、睡眠に入りやすくなります。仕事などもはかどって、入眠できます。睡眠で疲れを除いて、また、翌朝からは、仕事などに集中できます。好循環が生まれてきます。
仕事などのほか、昼食後などの時間を利用して、街をウォーキングしてもいいでしょう。街を観察できるだけでなく、手軽に健康維持・増進もできます。
ただ、頑張りすぎるのも要注意です。夜、眠るための適度な疲労感は必要ですが、昼間、疲れを感じたら、無理をせず、短時間の昼寝で、日中の疲労を取り除きましょう。寝入ってしまうと、逆効果ですので、10-15分程度、椅子に座ったままなど、すぐ起きられるよう工夫したうえで、睡眠を取ります。短時間の睡眠後は再び、バリバリと仕事などに集中できます。
3.入眠しやすい体調にする
昼間に得た疲労感に加えて、少し工夫することで、さらに睡眠に入りやすくします。まず、効果的なのは、軽いストレッチ運動です。寝室などで、屈伸、柔軟などの運動をします。ラジオ体操や体の各部位のマッサージ、足踏み、ヨガなどでもいいでしょう。
これらの軽い運動によって、血行がよくなり、体温がやや上昇します。ストレッチ運動などの後は休息の中で、体温が落ちていきますが、この体温下降が安らかな睡眠を誘ってくれます。睡眠の質も高まります。
就寝前に、やや温めのお風呂に入るのもお勧めです。リラックスできるだけでなく、ストレッチ運動などと同様、入浴後、体温が次第に落ちていくことで、寝やすくなります。カモミールなどのハーブが入った紅茶や、ホットミルクなどの飲物を飲むことでも、同じ効果を得ることができます。
眠る前の少なくとも3時間前までには、食事も済ませておきたいところです。
起床、就寝時間を毎日、同じにすることと同様、自分なりの「入眠儀式」を行うのも習慣づけという点でいいでしょう。眠る前、トイレに行って、歯を磨いたら、自分の好きなことをして、リラックスします。読書、音楽鑑賞、日記執筆、翌日の洋服準備など何でもいいと思います。脳も次第に休息モードに入っていきます。
4.寝室をベストコンディションに
寝室の温度、湿度を調整して、寝やすい環境を作ります。夏には冷房、冬には暖房で温度調整しますが、同時に、湿度にも気を配りたいものです。冷暖房によって、湿度も調整していることが多いですが、今一度、湿度そのものの大切さも理解しましょう。
湿度50%前後が、一番、寝やすく、良質の眠りを得ることができます。夏は蒸し暑さを冷房で除去する。冬は、加湿器を使って、湿度を高める。乾燥した空気は風邪にもなりやすく、注意が必要です。温度とともに、湿度も調整する。そんな習慣も重要です。
また、照明も大切です。あまり明る過ぎるのはよくありません。直接照明はできるだけ避け、暖色系の照明で、落ち着きを得られるようなものにしましょう。
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5.不安を残さない、クリアな頭脳で眠る
案外、見落とされがちなのは、日々の不安、悩みを残したまま、眠ってしまうことです。これでは、質の高い睡眠を得ることは難しいでしょう。不安や悩みはそう簡単に解決できませんが、そうかといって、それらを引きづったままではいけません。自ら努力して、少なくとも、睡眠に際しては、それらをしばし忘却することが大切になります。
まずは、日々の雑務を睡眠までにすべて処理してしまうことです。雑務は小さいものが多いですが、それらが蓄積されれば、大きな不安や悩みにつながります。その日に発生した雑務を寝るまでにかたづけてしまうことは、安らかな睡眠を得るには不可欠です。
良質な睡眠のためには、寝る前に、自分の将来の夢を書き出すことがお勧めです。手帳などに一字一字、手でさまざまな夢を書いていけば、その夢が脳に直接伝達されます。睡眠中、将来の夢は何度も頭脳の中で繰り返され、潜在意識に働きかけるようになります。
禅の言葉を読むのも効果的です。
◇まとめ
人生の約3分の1は眠っている勘定になります。ならば、漠然と眠るのではなく、戦略的に睡眠を取りたいものです。特に、小さな睡眠不足を侮らないことです。睡眠の質を上げることができれば、起きている間の時間も効率的に使え、1日を大切に生きることができます。人生を大きく変えることも可能でしょう。
トップのイラストは「いらすとや」によります。
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