猛烈な食中毒を引き起こすO(オー)157とは、どんな菌なのでしょうか。また、なぜ、アルファベットのОと数字の157で表現されるのでしょうか。その理由とともに、O157の原因や潜伏期間、症状などを調べてみました。O157の実態を知り、食中毒を予防したいものです。
◇O(オー)157とは
O157は、腸管出血性大腸菌のことです。人間や動物の体内には、大腸菌がありますが、ほとんどは病原性がありません。
ただ、いくつかは病原性のあるものがあり、下痢原性大腸菌(病原大腸菌)と呼ばれています。O157もこの下痢原性大腸菌の一つです。
Oは、体内に入ると抗体のできるO抗原のOを示しており、157番目に発見されたことから、157の数字が付けられています。O抗原は約180種類あります。О157は、下痢原性大腸菌の7割を占める代表的なものです。
◇O157による食中毒
1996年、岡山県邑久郡邑久町(現在の瀬戸内市邑久町)の学校給食で、O157による集団食中毒が発生し、O157の存在が広くニュースになりました。その後も富山の焼肉店や、静岡市の花火大会、さらには、2年前には、神奈川県平塚市の食肉販売会社が販売した冷凍メンチを原因に、O157による食中毒が起きています。
◇原因
牛など家畜の糞便に含まれるO157が食肉に付着し、この汚染食肉を食べることで、食中毒が起きるケースが多くなっています。
O157は少しの菌でも食中毒を起こす強毒性が特徴で、高温になるほど、増殖する率が高まります。これまでは、主に牛肉を食材とした牛レバーやユッケ、焼肉による食中毒が多くありましたが、肥料である家畜の糞便に含まれたO157が野菜に付着することで起きる、サラダや生野菜による食中毒も増えています。
◇潜伏期間
人によって異なりますが、3-7日間で発症します。
スポンサードリンク
◇食中毒の症状
O157に感染すると、水様性の下痢や腹痛などの症状が現れます。重症化すると、血便を伴う下痢が起きるのが特徴で、この症状が現れたら、O157感染の可能性が高くなってきます。
出血は、O157が作るベロ毒素によるもので、この毒素が血管に入り込むと、腎臓の尿細管細胞が破壊され、腎不全や尿毒症、急性脳症などになります。重症化すると、死に至ることもあります。体力が無い子供や高齢者は特に気を付ける必要があります。
◇予防
O157は熱に弱いのが特徴です。加熱が不十分なため、食中毒になることが多く、牛肉やその加工品(ハンバーグなど)を食べる際は、十分に火を通すことが重要です。
牛肉など食肉は、加熱が不十分になりやすい中心部を含めて肉全体を75度で1分以上加熱すれば、O157菌は死滅します。加熱で、菌を「殺す」ことですが、そのほかにも、「つけない」「増やさない」も含めて、食中毒を防ぐための工夫を順守することが大切です。以下の予防にも配慮しましょう。
・食肉は常温ではなく、冷蔵庫で保存する(増やさない=万一、食材がO157に汚染された場合、O157は高温で増殖するため)
・調理器具をしっかり洗う、殺菌する(つけない=万一、調理器具にO157が付着した場合、他の食材に移る恐れがあるため)
・石鹸で手をよく洗う(つけない=万一、手にO157が付着した場合、他の食材に移る恐れがあるため)
・生野菜はきれいに洗う(つけない、増やさない=O157が付着した恐れもあるため)
◇まとめ
平塚市の冷凍ハンバーグの食中毒の件では、メーカーは、「170~175度で6分間揚げること」と袋に表示していました。冷凍食品では、揚げる温度、時間が不十分になることが多くあります。ハンバーグの外は、きつね色になっていても、中はまだ赤いという状態になっていることも多くなっています。もう一度、しっかり火を通すということに気を付けたいものです。
トップのイラストは、「いらすとや」のものです。
スポンサードリンク