CTとMRIの「輪切り」画像の違いは? レントゲンより高度な診断ができる、そのメリット、デメリットは?

 年を取ると、CTやMRIの医学用語を耳にすることが一気に増えてきます。CT、MRI、どちらも、体内を「輪切り」にした画像で病気の有無や病巣の様子などを見ることが出来ますが、CTとMRIの画像の違いはどこにあるのでしょうか。CT、MRIのメリット、デメリットを正しく知って、健康維持や病気の診断に大いに役立てたいものです。

 ◇CTとは?

 Computed Tomographyの略で、「コンピューター断層撮影法」の略です。

 放射射線(X線)を使った検査で、レントゲンより高度な診断ができるのが特長です。健康診断で異常が見つかった場合、再検査の段階でCTを受けることがよくあります。

 人体を一回転させながら体内に放射線を照射し、各部位の情報を取得していきます。その情報をもとに、コンピューターで身体の断面を「輪切り」にした画像を作成します。体内の各断面を写真撮影している訳ではありません。

 撮影時間は5分-15分と短く、全身を早く検査したい時に使用されます。特に、交通事故で負傷者が病院に救急搬送された際、全身のどこかに異常がないかどうかをチェックする時にも活用されます。
 
 得意部位は、骨や肺で、外傷や骨折の有無、出血性疾患を疑った時に使用されます。
 
 以下のような病気の診断で使用されます。
 
 骨、歯、肺がん、肺炎、気管支炎、結核、胸水、気胸、腸閉塞、腹水、腹腔内、胆石、尿路結石、肝臓、すい臓、腎臓、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍など

 ◇CTのデメリット

 放射線による検査のため、被ばくするリスクがあります。必要最小限であれば、身体に大きな害を及ぼすことはありませんが、妊娠している女性は避けたほうがいいでしょう。

 CTは輪切りの断面画像となるため、のちほど述べる、縦横斜めの多様な断面画像が作成できるMRIに比べると、正常部分と病巣部分の判別がしにくいことがあります。また、骨も白く写ってしまうため、見にくい箇所も出てきてしまいます。頭蓋骨に囲まれた脳の診断は難しくなります。

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 ◇MRIとは?

 Magnetic Resonance Imagingの略で、「核磁気共鳴画像法」あるいは「磁気共鳴画像診断装置」と訳されます。

 強い磁気と電磁波で身体の臓器や部位の情報を収集、CTと同様、やはり、コンピューターで画像を作成します。CTと違って、縦、横、斜めの断面の画像が作成できるため、CTより精度の高い診断ができる部位が多く、病気を見つけやすくなっています。撮影時間は20分-1時間です。CTと違って、放射能被ばくの危険性がなく、妊娠している女性や子供も検査を受けることが出来ます。

 得意部位は、脳や内臓、生殖器などです。脳など水分の多い箇所の撮影に優れています。CTと違って、頭蓋骨の骨も写りません。

 以下のような病気の診断で使用されます。

 脳梗塞、脳動脈瘤、脳出血、くも膜下出血、肝臓、胆嚢、すい臓、血管、前立腺、子宮、卵巣、軟骨、靭帯、腰椎椎間板ヘルニア、靭帯損傷、肉離れ、骨軟部腫瘍、半月板損傷など

 ◇MRIのデメリット

 強い磁場を使うため、ペースメーカーや脳動脈クリップなど体内に金属が入っいる人は検査を受けられません。検査時間が長いため、子供には不向きな側面もあります。

 また、大きな音が発生することに恐怖を感じる恐れもあります。閉じ込められることから、閉所恐怖症の人も検査が難しくなっています。CTに比べて、時間がかかること、1回に撮影できる個所が少ないことから、全身撮影には不向きです。

 ◇まとめ

 こうして見てくると、CT、MRIともに、長所、短所があることがあります。がんなどが疑われたら、担当の医師に十分相談することが必要になります。どちらの検査を受けるか、両方の検査で比べてみるか、病気に応じた検査の方法を選択すべきでしょう。

 特に、腹部にある肝臓、脾臓、すい臓、腎臓などはCT、MRIを併用して、検査・診断を受けることの効果が高くなっています。
 
 私の場合、駐在員として海外に赴任する際、肺がんの疑いが健康診断のレントゲン検査の結果、判明しました。がんであったならば、海外赴任もなくなる不安の中、CTを受け、さらに、MRIを受けて、ようやく、肺がんの疑いは晴れました。

 医師からは、MRIでも疑いがあったら、PET(Positron emission tomography、ポジトロン断層法)も受けるように言われていたため、CT、MRI、PETの順に高度な検査になると思い込んでいましたが、今回、CT、MRIについて調べて、決して、そうではないこともわかりました。

 病気に応じて、CT、MRI、PET、さらには、超音波をうまく使い分ける――ことが大切であることが理解できました。

 トップのイラストは、「いらすとや」によります。

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