浜離宮恩賜庭園(東京・中央区) 海水の干満で、景観の変化を楽しむ「潮入り池泉回遊式庭園」を散策する

 海水の干満で、景観の変化を楽しむ池を見るのなら、東京・中央区の浜離宮恩賜庭園がいいでしょう。東京湾からの海水を水門で調整、その水量によって、見え隠れする護岸や池の中島などの変化が楽しめる「潮入り池泉回遊式庭園」があります。自然と共存した江戸時代の人々の知恵とも言えます。

 江戸時代からの庭園で、海水の池があるのは都内で、浜離宮恩賜庭園だけです。ボラやセイゴ、ハゼ、ウナギなどの海水魚が生息しているのだそうです。

 JR新橋駅から汐留方向に歩き、大手門橋から庭園に入ることができます。松の大木が生え、石垣に重厚感があります。大木の「三百年の松」を見て、東の東京湾方向に向かうと、お花畑の菜の花が一面に植えられています。

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大手門

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三百年の松

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菜の花畑と梅林(撮影時期は春)

 時期になれば、その鮮明な黄色が映えます。梅林の木々も春には、一気に満開になり、美しい光景を作り出すでしょう。

 将軍が船の乗降に使った「将軍お上がり場」があります。台風の影響で一部は崩れてしまいましたが、石段を上り下りした将軍の姿が想像できるようです。歴史を感じることができます。

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将軍お上がり場

 東京湾を一望できる「新樋の口山」を通り過ぎると、水門があります。東京湾からの海水がここから池に入る仕組みになっています。長時間、庭園に滞在すれば、池の景観の変化を時を追って見ることができるのでしょう。池には、総檜造りなどの橋がかかり、松などの木々が池を囲みます。鴨などの水鳥も悠然と泳いでいます。

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水門

 高層ビルや東京タワーも見える中、ゆったり、庭園を歩き、自然の美しさを満喫することができます。

 浜離宮恩賜庭園は、もともと、アシの生い茂る徳川将軍家の鷹狩場でしたが、承応3年(1654年)、4代将軍家綱の弟で甲府宰相の松平綱重が海を埋め立てたうえで、別邸を建て、庭園を造成しました。その後、綱重の子、綱豊が6代将軍家宣となって、庭園は「浜御殿」と命名され、改修が行われました。

 将軍家の行楽や接待の場に使われ、江戸城の出城の役割も果たしました。11代将軍家斉の時に、ほぼ現在の姿になりました。

 明治維新で、皇室の離宮となり、名称も、「浜離宮」となりました。迎賓や謁見の場として利用されました。昭和20年(1945年)、東京都に下賜され、翌年から一般公開されるようになりました。 

 外国人の観光客も多く、散策を楽しむ姿を見ることができます。歴史を刻んだ日本庭園の美しさは、いい旅の思い出になるでしょう。

 旧芝離宮庭園や清澄公園、旧安田庭園などでは、いずれも、潮入の池は閉鎖され、見ることができません。浜離宮恩賜庭園で、この潮入の池を見ると、風情があって、とても、いいものだと感じることができます。日本らしさがあります。四季折々に訪れ、景観の変化を比べると、一層、楽しいでしょう。

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