「世界年鑑2019」(共同通信社)は、国際情勢を理解するための必読書です。2018年の世界情勢を概観する特集をはじめ、各国の現勢、各国元首・閣僚の一覧、世界人名録などが1冊に収まり、いつでも手にして、さまざまな疑問について調べることができます。国際情勢を的確に把握することができます。
◇特集
世界全図・世界の国旗に続く「特集 2018年の世界」では、世界が今、どんな問題に直面しているのかを知ることができます。
冒頭の「北朝鮮が対話転換」では、北朝鮮が核、ミサイル開発の強硬路線から対話路線に転じ、金正恩党委員長が2018年6月、シンガポールで、米国のトランプ大統領と初の首脳会談を行ったことがまとめられています。
両首脳は共同声明に署名したものの、非核化合意には具体策を欠いたこと、膠着打開へ向けて再会談に動き出したことなどが、北朝鮮の主な外交の年表とともに解説されています。
その後、2019年2月、2回目の首脳会談がベトナム・ハノイで行われましたが、非核化で合意できず、決裂しました。
特集では、そのほか、さまざまな問題が取り上げられています。世界年鑑のタイトルは以下のようです。
トランプ大統領与党、下院敗北
独仏、弱まるEU主軸の求心力
英国、EU離脱控え混迷
米中貿易摩擦
戦後補償訴巡り日韓緊張
アサド政権、存続決定的
イラン核合意、崩壊の危機
政府批判のサウジ人記者殺害
中国、国家主席の人気撤廃
解決へ進展なし、高まる懸念
中東和平、パレスチナ孤立
軍事・軍縮
ロシア初のワールドカップ
テーマを見るだけで、世界が今、直面している問題がわかります。また、一つ一つじっくり読んでいけば、それぞれの問題の背景、現状、展望などが理解できます。写真や地図、年表なども豊富で、理解を深めてくれます。
今後、国際情勢はどう推移するのか、どんな問題が起こりそうかなどを予測することもできます。また、日本はそれぞれの問題にどう対処すべきかを考えることもできます。
それぞれの問題について、進展があった場合、世界年鑑の特集に戻って、何度も読み返すと効果的でしょう。気づいたことをどんどん欄外に書き加えてもいいでしょう。自分だけの「教科書」にもなります。
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◇世界各国の現勢
各国の現勢では、アジア、オセアニア、中東・北アフリカ、アフリカ、北米、中南米、欧州、独立国家共同体・カフカス地方、両極地方別に、各国が解説されています。まずは、面積、人口、首都、主要都市、住民、言語、宗教、政治体制、元首、議会、国民総生産、通貨、国家予算など主要データを読むと、その国の概略がわかります。
概観、政治、外交、軍事、財政・経済、産業・貿易、交通・通信、社会・文化などの解説も役立ちます。各国の基本情報を把握することができます。こちらも、新聞などでニュースに接したら、世界年鑑のページを開いて、再度、読めば、理解が深まります。
◇各国元首・閣僚一覧、世界人名録
政治、経済、社会情勢などは、人によって動くとも言えます。その意味で、元首や閣僚を把握することは、その国を知ることにもなります。注目すべき人物は誰か。元首・閣僚一覧で調べ、さらに、興味を持ったら、人名録を読めばいいでしょう。出身、年齢、学歴、職歴などのプロフィールがコンパクトにまとめられています。
案外と、人名録は読む機会の多いものとなります。
◇記録・資料
人口の多い国、先進国の少子化、平均寿命、GDPの多い国、難民総数などの主要統計をはじめ、世界の大企業500社、世界の主な空港・航空会社、世界の標準時、内外外交公館、内外重要史年表、内外十大ニュース、ノーベル賞受賞者一覧などの記録・資料も役立ちます。
世界を多面的に理解することができます。
◇まとめ
世界年鑑が信頼できるのは、一流の執筆陣にあると言えます。私は欧州などで働く中、共同通信の記者とおつきあいする機会がありましたが、記事が正確で、分析力に富んだ記者が多かったと思っています。世界年鑑は、共同通信記者の力を総結集したものと言えるでしょう。
私は毎年春、世界年鑑を購入する時は、国際情勢への理解を深めようと新たな気持ちになります、今年も、ボロボロになるまで、世界年鑑を読むつもりです。