余命宣告されたら何をするか 余命わずかでできることは? 1冊の著書から

 突然、余命宣告されたら何をするか、余命わずかでできることは何か、深く思い悩むことになります。もう明日は来ない、という絶望感にも襲われるでしょう。しかし、そんなどん底からも脱却できる力が人間には備わっています。

 ホスピス医として24年間、3000人以上の患者と人生の最終段階に接した小澤竹俊さんが書いた著書「『死ぬとき幸福な人』に共通する7つのこと」を読むと、そんな力があることがわかります。

 自分の人生に後悔することなく、最後には満足して死にたい――。そんな願いをかなえるためにも、この本は、生き方の指針を示してくれています。

余命宣告されたら何をするか 余命わずかでできることは?

50歳代の女性患者Nanaさん

 「今度生まれ変わったら、絶対に勉強して、医者になって、先生(小澤さん)と一緒に働きたい」

 この言葉は、「本のはじめ」で紹介されたNanaさんという50歳代の女性患者さんが語った言葉です。

 本によると、Nanaさんは末期がんで、水を飲んでもすぐに吐いてしまうような状態でした。気持ちは重たいままで、「早くこの世から消え去りたい」と希望していました。

 こんな中で、小澤医師は、同じ病気で闘っている誰かのために、何か役立つメッセージを残すように提案しました。Nanaさんはこれを受け入れ、7つの詩を書いてくれたといいます。

Nanaさんが書いた詩

 
 「苦しみは、一人でがんばらなければいけないと思い込んでいた。
  わたしの目に映る景色はモノクロだった。
  でも、ある日、ほんの少しの”勇気という一歩”を踏み出すことで、
  あたたかな手を差しのべてくれる人たちがこんなにもたくさんいることに
  気がつ付いた。
  その瞬間、わたしの目に映る景色に色がついた」

 Nanaさんが書き上げた詩のひとつです。

 そして、Nanaさんは安らかに死の時を迎え、最後に、冒頭の言葉を語ったのだそうです。

 Nanaさんの穏やかな心の変化、そして、人間は、たとえ治る見込みのない重病であろうとも最後の死期を迎えるまで、気持ちの持ち方で強く生きることができることがわかります。

「死ぬとき幸福な人」に共通する7つのこと
[書籍のメール便同梱は2冊まで]/「死ぬとき幸福な人」に共通する7つのこと[本/雑誌] / 小澤竹俊/著

最後まで生き抜いた人々

 著書「『死ぬとき幸福な人』に共通する7つのこと」の中では、こうした変化をもたらしたケースが随所で紹介されています。そのたびに、深く考えさせられます。矢印で、どんな変化があったか見てみましょう。

 ・膵臓がんで余命わずかと宣告された70歳代の男性患者さん
  「周りに迷惑をかけたくない」「楽に逝きたい」が口癖。
          ↓
 人生で最も輝いたいたことを振り返る「ディグニティ―セラピー」を行った結果、
 以前よりもずっと穏やかな表情で、日々を過ごすようになる。

 ・進行がんが見つかった50歳代の男性患者さん
  仕事人間で、仕事ができなくなり、生きている意味に疑問を感じる。
          ↓
  道端に咲く小さな花を見て、「なんて美しいんだろう」と感じ、表情は穏やかに。自然の力を感じる。 

 ・50歳を過ぎて、肺がんが見つかった銀行員の男性
  突然、仕事ができなくなり、怒りがこみ上げ、家族やスタッフに声を荒げることも。
          ↓
  自分の人生を見直し、家族や友人に支えられていたことに気づき、感謝の言葉をするように。

 小澤医師は、「人は、この世を去るギリギリの瞬間まで、人生を変え、本当の幸せを感じることができる。私は、そう思っています」と書いています。

 人間の生きる力を信じたいものです。

 このように深く考えさせられる言葉は、小澤医師が闘病している患者さんと向き合って感じたものだけに、本の中にたくさんあります。

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「『死ぬとき幸福な人』に共通する7つのこと」の7つの章

 7つの章からもわかるでしょう。

 第1章 人は何歳からでもやり直せる。だから自分で自分を否定しない。
 第2章 老いて身体が動かなくなったとしても、新しい一歩を踏み出す
 第3章 不平不満があっても家族は家族。心からの愛情を示す。
 第4章 老後の喜びは他人がくれるもの。一期一会の出会いに感謝して暮らす。
 第5章 いつかこの世を去ると心得て今、この瞬間を楽しむ。
 第6章 死を前にして後悔しないために、大切な「夢」や「希望」は他人にゆだねる。
 第7章 どんな絶望、苦しみを抱えていても、今日一日を大切に過ごす。

「死ぬとき幸福な人」に共通する7つのこと
[書籍のメール便同梱は2冊まで]/「死ぬとき幸福な人」に共通する7つのこと[本/雑誌] / 小澤竹俊/著

まとめ

 本の中には、「推定意思」という言葉がでてきます。本によると、推定意思とは、家族など身近な人たちが、「本人だったら、どちらを選ぶだろうか」と考え、決断を下すことです。

 小澤医師も父の臨終に立ち会うか、研修準備のためにロンドンに行くか迷ったそうですが、「父なら、どちらを選べというだろうか」と、推定意思を応用して考えたといいます。

 もともと、小澤医師は、「親の死に目に会えなかったら後悔するだろう」と考えていたそうですが、推定意思があって、父親の臨終に立ち会えなかったものの後悔はなかったといいます。

 私も海外勤務が長かったことから、父親の臨終には立ち会えませんでした。父と最後に会話をしたかったと思いましたが、この推定意思を知ると、後悔の念がなくなってきました。父親は自分の心の中にいる、対話はいつでもできる、と考えられるようになったからです。

 何度でも繰り返し読みたい本だと思います。

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