「正法眼蔵随聞記」は、曹洞宗の開祖・道元が弟子の懷奘(えじょう)に語った言葉を懷奘が筆録したもので、平易な言葉で、修行のやり方や心構えが説かれています。「正法眼蔵随聞記講話」では、著者の鎌田茂雄さんが、その「随聞記」の中から重要と思う文章を取り出して解説してくれています。
道元の「正法眼蔵」は難解ですが、「正法眼蔵随聞記講話」を読むと、道元の思想が理解できます。禅の教えは、座禅だけでなく、日常生活の中にある、ということを学ぶことができます。
「坐禅といっても、ただ坐るだけが坐禅ではない。食事をするのも、掃除をするのも、経論を勉強するのもすべて坐禅である。行住坐臥(ぎょうじゅうざが)のすべてが只管打座(しかんたざ)の精神をもってされているのである」
鎌田さんは、「随聞記」第二にある道元の言葉をこう解釈しています。
立派な禅僧になるにはひたすら坐禅をすることが大切である、と訴える道元ですが、日常生活でも、禅の教えを活かすように説いています。
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「禅の教えはとても身近なところにあります。日々の暮らしとしっかりむすびついています」
禅寺の住職、枡野俊明さんも、著書「心配事の9割は起こらない」で、禅について、同じことを書いています。部屋に上がるときに脱いだ靴をきちんとそろえる。こんなことも、禅の教えの日常的な実践で、禅語の「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」がこれを表現しているといいます。
「喫茶喫飯(きっさきっぱん)」という禅語も同じです。余計なことを考えずに、お茶を飲む時にはお茶を飲む、ご飯を食べる時にはご飯を食べることに集中するということです。
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道元は、一日一日、今この時を大切にして生きることを説いています。「生命は一瞬一瞬の呼吸の中にある。生命は不変ではない」として、「明日を期待するな」「明日はなしと思え」と語っています。こんな考えが、日々、禅の教えを大切にして生きるということなのでしょう。
「正法眼蔵随聞記講話」を読むと、禅を学ぶうえで、一歩前進できたと実感できます。「正法眼蔵随聞記講話」で、鎌田さんは、14講にわたって、禅、道元の思想を解説しています。一つ一つ禅の思想を学んでいくには最適です。愛読書の一つにしていきたいものです。