「小学校社会科の教科書で、いっきに政治の基礎知識を身につける」という本のタイトルを見て、驚きました。著者の佐藤優さんが高校の教科書を学ぶといい、ということを別の本で書いていたのは知っていましたが、小学校の教科書も重視して使うとは思いませんでした。やさしくても侮ってはいけない。知は基礎から積み上げることを改めて、教えてくれます。
「基礎知識に欠陥があると、いくら本を読んだり専門家の話を聞いたりしても、知識が積み上がっていかない」
佐藤さんは小学校の教科書を学ぶ理由を、こう書いています。大学、高校、中学、小学校の教科書を調べたところ、小学6年生の社会科の内容をきちんと消化すれば、新聞やテレビで報道されている政治に関するニュースの大半は理解できることがわかったのだそうです。
本では、小学6年生の社会科の教科書の内容を、「敷衍」し、政治の基礎知識をわかりやすく解説しています。「国会」「内閣」「裁判所」「憲法」「三権分立」「税金」「選挙」の7章に分け、その仕組みや成り立ち、役割などを、まず、「表の社会科」で説明しています。
「表」はまさに、教科書に沿った解説ですが、「裏の社会科」も併記。「民主党の支持離れの原因」「政治の役割=平和を維持することで経済をよくする」「裁判で判例ができれば、法律は覆せる」「中間団体が崩れると、社会がバラバラになる」「官僚は『収奪する階級』である」「『選挙に行かない』という自由もある」など、表の知識を敷衍して、各章のテーマを踏み込んで解説しています。
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「政治を理解するために知力が重要なのは言うまでもないが、その前提自体が現下の日本では崩れている。それは日本社会を反知性主義が覆っているからだ。反知性主義とは、実証性と客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解する態度のことだ」
こんな佐藤さんの言葉を読むと、政治の基礎をしっかり身に付けることの大切さがわかります。
各章には、国会や内閣、裁判所などに沿った専門書も写真入りで紹介されており、さらに専門的に研究することもできるようになっています。段階を追って、知識を深めることができそうです。
佐藤さんと井戸さんの対談をじっくり読み込むと、小学校の社会科の教科書の重要性がわかります。
本のなかにある小学6年の社会科の教科書をじっくり読んでみるといいでしょう。
佐藤さんは毎年、高校、中学などの教科書を科目別に多く購入して、読み返すそうです。東京都では、神田神保町の大型書店・三省堂にある「教科書供給所」で、高校、中学、小学校の各教科書を購入することができます。
教科書から基礎を学ぶ。改めて、教科書を大切にしたいものです。
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