「一期一会」は、中国唐代の禅僧で、臨済宗の開祖となった臨済義玄の言葉です。「臨済録」の中にあります。「一期」とは、人間の一生、「一会」とは、たった一度会うこと、を意味しています。解釈を知ると、人生における出会いに感謝したくなります。
「一生に一度しか会えないもの」
境野勝悟さんは著書「心がスーッと晴れる一日禅語」で、一期一会を、こう解釈しています。境野さんは、「千利休が教える『茶の湯の心得』として、千利休が、一期一会を大事にしたことを指摘し、「お茶室に入ったお客に対して、あの人は好きな人だとか、この人は嫌いな人だとか思ってはならぬ。いま、ここにいらっしゃるお客とは、一生に一度しか会えない人だと思って相手をすべて認める」と書いています。
出会いを大切にするということでしょう。好き嫌いを言っていてはいけない、と千利休が戒めていたことを境野さんは強調しています。
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「この一時に生きる」
建功寺(神奈川県)住職の枡野俊明さんは、著書「おだやかに、シンプルに生きる」の中で、一期一会を、こう捉えています。
そのうえで、枡野さんは、「この世は一時たりとも、とどまってはいません。常に移ろっています。今というこの時間も、過ぎてしまえば二度と戻ってはきません。たとえ同じことを同じ相手としていたとしても、それぞれがたった一度きりのもの。その一時を大切にしながら生きていくことを示唆した言葉です」「この言葉は、誰かとの出会いばかりを意味しているのはありません。その時々の自らの心持ちにも目を向けることを説いていると私は解釈しています」と書いています。
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「一期一会」も、「日日是好日」、「而今」という禅語や、慶應義塾大学を創設した福沢諭吉の「今日も生涯の一日なり」に通じていることがわかります。
而今(にこん) 今、この瞬間を大切に生きる 禅の言葉をかみしめて
私は会社員時代、海外で約15年間、生活しました。海外駐在員ということもあって、1か所の駐在期間はだいたい3、4年、短いと1年ということもありました。そんな短い時間でしたが、「一期一会」の精神で、つきあった人々とは、今もながく交流が続いています。出会いを大切にする、という気概があったからこそ、いいつきあいができたのでしょう。
距離は離れていますが、再度、顔を合わせれば、すぐに友達つきあいに戻れそうです。今や、インターネット全盛の時代ですが、こういった友人、知人からは、地元でしか知り得ない情報が入ってくることも多くあります。
これからも、「一期一会」を大切にしよう。そんな思いを日々、かみしめています。
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