樺沢紫苑さんの著書「神・時間術」は、集中力を高めて時間を上手に管理するという点で、とても役立つ本ですが、そのなかでも、やはり、朝の時間を大切にしなくてはならないことも教えてくれます。
朝の時間は、休憩した直後や締め切りの前日などとともに、集中力の高い「脳のゴールデンタイム」の一つです。では、朝の時間をどう活かしたらいいのでしょうか。
スティーヴン・キング
樺沢さんは、この本の中で、「スタンド・バイ・ミー」などの作品で知られるアメリカのベストセラー作家スティーヴン・キングについて書いています。キング自らの小説作法をまとめた「書くことについて」で、キングはこんな風に述べています。
「私の日課は実にわかりやすい。午前中は執筆。午後は昼寝と手紙。夜は読書と家族団欒、テレビでレッドソックスの試合、どうしても後まわしにできない改定作業。というわけで、原則として、執筆は午前中ということになる」
これを受けて、樺沢さんは、驚きと同時に、非常にうれしい気持ちになったのだそうです。キングの日課が、樺沢さんの日課とほとんど同じだったからだといいます。「特に、午前中は執筆時間で、1年365日をほとんど同じ日課で過ごす」と樺沢さんは書いています。
朝の時間はとても大切だということを物語っています。
では、本の中から、朝の大切さに触れた個所を抜き書きします。
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抜き書きポイント
・1日の中で集中力が最も高い時間帯は、「朝の時間」です。朝の時間をどう活用するかで、その日1日が決まると言っても過言ではありません。
・朝起きてから2~3時間の時間帯を、「脳のゴールデンタイム」といいます。
・1日で最も集中力が高い時間帯は、朝6~7時台です。
・集中仕事をこなすには、「午前中」しかない。
・日本人は、朝の時間帯の重要性をほとんど認識できていません。朝、スタートダッシュで仕事をすることで、「脳のゴールデンタイム」が有効活用できて、午前中の仕事効率は圧倒的に高まり、結果として遅くまでの残業やダラダラとした時間を減らせることは、間違いないのです。
・「朝の時間30分=夜の2時間」の法則
・「朝のすっきり」を手に入れる5つの方法
・朝シャワー
・カーテンを開けて寝る
・不動明王起床術
・リズム運動
・よく噛んで朝食をとる
・サラリーマンに残された最後の切り札
・2時間早く起きて、通勤ラッシュが始まる前の電車に乗り、座席に座って楽々と読書をし、会社近くのカフェで、自分の時間を活用するという方法です。
書評・感想
朝の大切さ
これだけ読めば、朝の大切さが伝わってきます。朝早く起きて、集中力の高い時間帯に、その日の重要な仕事をこなしてしまうことです。たとえば、午前4時に起きて昼まで仕事をしたら約8時間、いろいろな課題に取り組むことができます。まさに、その日1日が決まってしまうということでしょう。
朝の時間を有効活用した人々は?
朝の時間を有効活用した人々は多くいます。
外国では?
アメリカの文豪アーネスト・ヘミングウェイは毎日午前5時に起床、午前中は小説の執筆に没頭したそうです。しかし、午後は仕事をしませんでした。生まれた米シカゴ近郊をはじめ、フランス、スペイン、キューバなど多くの国に移り住みましたが、その土地によって、釣りや狩り、射撃、闘牛観戦、ボクシングなどの趣味に取り組みました。時には、昼から、お酒を飲み、土地の住民らと談笑することもあったようです。
レオナルド・ダ・ヴィンチとヘミングウェイ 立って仕事をする 脳を活性化 【偉人の生き方】
また、英国スコットランドの詩人・作家だったウォルター・スコットも毎朝午前5時に起き、身支度をしてから、朝食の午前9時まで、詩や小説、エッセイなどの原稿を書きました。それから、若い頃は、法律事務所、晩年は、エジンバラ最高民事裁判所で働きました。
ウォルター・スコット 朝時間を大切にして、勉強や仕事で効率アップ 【偉人のスタイル】
ドイツの哲学者のカントも毎朝午前5時にお茶と一服のたばこという朝食を取ると、午後1時の昼食まで、執筆や講義の仕事をしました。ゲーテは朝は何も食べず、午前11時まで仕事、チョコレートを飲んだ後、午後1時まで仕事に取り組みました。
日本では?
日本でも、朝の時間をうまく使った人々は多くいます。その中で、僧侶も代表的な人々でしょう。
「僧侶というのは、早朝から午前中にかけて、その日の仕事をほとんどやり終えます。そして、午後からは自分の勉強の時間にあてることが多いのです」
「一日のなかで、心に余裕を持てる時間を意識的につくっているのです。頭の働く午前中に大切なものをやってしまうこと。そうすることで午後からは気持ちに余裕が生まれるのです。そんな生活リズムを作っておけば、忙しさから少しは解放されるのではないでしょうか」
禅寺の住職枡野俊明さんも、著書「おだやかに、シンプルに生きる」で、こう書いています。枡野さん自身、住職のほかに、庭園デザイナー、大学教授、さらには執筆活動と精力的な活動をしています。
枡野さんは毎朝午前5時に起床、まずは朝の空気をいっぱい吸い込むといいます。寺の本堂や客殿、庫裏の雨戸を開け、朝の勤め、坐禅をし、朝食を食べます。その後は、住職や庭園デザイナーとしての仕事をこなし、大学教授として教えるために準備をするのでしょう。当然、本の執筆も行うことになります。
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午前中に、集中力を要する執筆を行う。午後からは、ゆったりと読書や趣味、人々との交流などで過ごす。そんなスタイルが効果を上げていることがわかります。ぜひとも、朝の時間をうまく使いたいものです。
樺沢さんは、朝の時間をスタートさせるうえで、「朝のすっきり」を手に入れる5つの方法を勧めています。
この中で、特に、重視したいのが、朝シャワーと、カーテンを開けて寝ることでしょう。樺沢さんは、朝、シャワーを浴びることで、夜の神経(リラックスの神経)である「副交感神経」から、昼の神経(活動の神経)である「交換神経」に切り替わることを説明しています。樺沢さんは1年365日、ほぼ毎日、朝シャワーを浴びるのだそうです。私も毎朝、入浴しますが、この効果を実感しています。
また、樺沢さんは、カーテンを開けて寝ることで、毎朝、朝日を浴び、身体の1日を司るセロトニンという脳内物質が活性化するともしています。セロトニンによって、「今日も1日頑張るぞ」という気持ちになるといいます。私も海外出張した際には、よくカーテンを開けて寝ることで、時差ぼけを解消しました。
ビジネスパーソンに残された最後の切り札
日々の仕事に追われて忙しいビジネスパ-ソンにとっては、なかなか、朝、自分だけの時間を持つことは難しいものです。そこで、樺沢さんが勧めているのが、朝2時間早く起きて、自分だけの朝の時間を捻出することです。抜き書きにもあるように、「2時間早く起きて、通勤ラッシュが始まる前の電車に乗り、座席に座って楽々と読書をし、会社近くのカフェで、自分の時間を活用するという方法です」。
多くのできるビジネスパーソンはすでに実行しているものでしょう。毎日2時間ですが、1年で480時間になります。毎日の小さな蓄積は人生において大きな財産になってくれます。英国の作家スコットが作家になる前、毎朝午前5時に起き、法律事務所、裁判所に行くまで執筆した生活スタイルにも通じます。
まとめ
「神・時間術」は、どのページを読んでも、新しい発見があります。「『人間は寝る前に考えた人間になる』という言葉がありますが、これは心理学的に正しいのです」と樺沢さんは書いたうえで、寝る前は、つらい出来事を思い出すのはやめ、今日あった楽しかった出来事を一つ思い出すよう勧めています。また、樺沢さんは、寝る前15分は「記憶のゴールデンタイム」だとして、試験勉強や語学の勉強など暗記系の勉強をするといいとしています。
いい朝をスタートするには、寝る前が大切なことがわかります。楽しかった出来事を思い出す、暗記に取り組む、の二つが効果のあることがわかります。
私は寝る前、10冊くらいを枕もとに並べ、面白い、あるいは重要と思った個所に張ったポストイットの部分を15分-30分程度で読み返すことにしています。朝、起きると、面白いアイディアを思いつくことが多くあります。また、朝は執筆などのほか、読書をすることもあります。朝一番の読書もまた、豊かな1日の始まりをもたらしてくれます。
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