「日本資本主義の父」と呼ばれ、500社以上の会社をはじめ、教育機関、医療、福祉施設、国際団体などの設立に尽力した渋沢栄一(1840年-1931年)は、寸暇を惜しんで本を読みました。先人の智恵を学び、学問は一生、続けることをひとつのモットーにしていました。
「普通にしていては読書の時間など見出せるわけがない。私も、読んでみたいと思っている本が常に机の上に山積みになっている。だから、わずかな暇さえあれば私は机に向かって本を読むよう心がけている。寝る時にも読み、車に乗っている時にも読むようにしている」
渋沢栄一は、こう語り、読書を大切な時間ととらえていました。豪農の家に生まれた栄一は7歳のころから、尾高惇忠について、四書、五経、小学、十八史略などを学び、和漢の教養を身につけました。特に、中国古代の孔子が道徳の必要性を説いた儒教の書「論語」は座右の書となりました。
実業界に入ってからは常に、「論語」を読み返したといい、「利潤と道徳の調和」を説いた「論語と算盤」は栄一の代表作となりました。
「学校で学ぶ学問は、のちに学ぶ実務の下ごしらえである。ゆえに人は死ぬまで学問と考えなくてはならない」と述べるように、栄一は実業に役立つ実務を重視、この実務は会社や教育時間などを設立する際の原動力になりました。
「修養はどこまでやらねばならぬかというに、これは際限がないのである」(渋沢栄一)
本を読み、生涯、学び続ける。各界で活躍している人々には、読書を生活の柱に据えている人が多くいますが、改めて、本を読み続け、先人の知恵を学ぶ姿勢を持ち続けることが大切であることがわかります。
どんな思想、どんな言葉に出会えるのか。そこから、自分で、どう考えるか。読書を楽しみ、その質を高めたいものです。
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