池波正太郎著の代表作のひとつに「鬼平犯科帳」があります。江戸と東京を比べた地図「大江戸今昔マップ」を見ながら、この時代小説を読み返してみました。そうすると、主人公である長谷川平蔵が当時の特別警察ともいうべき「火付盗賊改方」の長官として活躍する姿や、江戸の町の様子を思い浮かべることができます。
池波正太郎の代表作「鬼平犯科帳」 江戸の古地図を見ながらこの時代小説を読むと
「幅二十間の本所・横川にかかる法恩寺橋にわたりきった長谷川平蔵は、編笠のふちをあげ、さすがに、深い感慨をもってあたりを見まわした。鉛色の雲におおわれた空に、凧が一つのぼっている」
「本所・桜屋敷」(「鬼平犯科帳の一遍)はこんな迫力のある描写で始まります。これは、長谷川家の屋敷の周辺を書いたものです。長谷川家の屋敷は父・長谷川宜雄が京都町奉行となって京都に行くまで、本所・三つ目にあり、横川河岸・入江町の鐘楼の前だったといいます。
「大川から竪川(たてかわ)に入ると、本所になる。竪川は、万治二年に堀割りされたもので、幅二十間。これに橋をかけて一つ目橋、二つ目橋・・・その三つ目橋が平蔵の旧邸があったところだ」(「本所・桜屋敷」)
当時の江戸の地図見ると、本所深川は隅田川から東にかけて、町が開け、平蔵の旧邸をさらに東に向かうと、田畑になっていたことがわかります。長谷川平蔵は、こんな町境で盗賊を追ったのでした。当時の風景が目に浮かぶようで、小説の魅力が増します。
長谷川平蔵の旧邸は今の都営新宿線の菊川駅の北側にありました。
剣友・岸井佐馬之助と出会う場面では、馬之助が押上の春慶寺に住んでいることを平蔵に話しています。江戸の地図を見ると、押上に春慶寺があり、一帯では田地が目立ちます。
「鬼平犯科帳」では、浅草や両国、深川、神田などが小説の舞台になっています。池波正太郎は、どんな江戸の地図を見て、小説を書いたのでしょうか。池波正太郎が使った地図を見たいと思えてきます。
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まとめ
江戸の地図を見ながら時代小説を読む。そして、できるだけ、それらの小説の舞台を歩いてみる。
時代小説読みが楽しくなりそうです。
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