
日常生活でぜひとも心掛けたい禅語はたくさんあります。放下着(ほうげじゃく)もそんな禅語のひとつです。放下着とは、どんな意味の禅語でしょうか。枡野俊明さんや平井正修さんの解釈から、放下着の意味を探ってみました。その意味を知ると、心に響く禅語になります。
放下着(ほうげじゃく)とは、どんな意味の禅語?
「放下着」 pic.twitter.com/Aa3s4cGJLQ
— 紫舟 SISYU*official (@sisyu8) October 4, 2023
放下着(ほうげじゃく)とは、どんな意味の禅語かというと、執着心を捨てて、心穏やかに生きるということです。
「放下」は「捨てる」という意味
「着」は、「何々しなさい」という命令形で
「放下着」は、「捨てなさい」ということになります。日常生活で、この「放下着」を実現するのはなかなか大変ですが、ぜひとも心掛けたい禅語です。
枡野俊明さんや平井正修さんの解釈
【発見】一家の柱になって12年。生きる為に大切にしてきた事は禅の教えの中にあった!!その中にある1つ『放下着ほうげじゃく』はいわゆる心の断捨離。一切の執着や思い込みを手放すと新たな発見や進む為の道が見えてくる。自分の生きてきた経験の中でできたしまった『すべき』『あるべき』に気付き手… pic.twitter.com/oO3TMicPUJ
— ユカリ@50代の生き方応援リーダー (@kari85_yu) January 12, 2024
では、枡野俊明さんや平井正修さんの解釈をみてみましょう。
枡野俊明さんの解釈
建功寺(神奈川県)住職の枡野俊明さんは、著書「おだやかに、シンプルに生きる」の中で、「放下着」という禅語が生まれた経緯を説明しています。
一人の禅僧が、師にたずねます。「放下着と言いますが、もう私はすべてを捨てきったという思いでいます。もはや捨てるものは何もありません。これ以上、何を打ち捨てろというのでしょうか」と。師はこれに対して、「捨てきったという思いさえも捨てなさい」と答えます。
枡野さんは、「なかなか難しい禅問答ですが、それほどまでに、人間の心にとって捨てきるということは難しいことを表しています。執着心を捨てることが、ひいてはおだやかな心につながっていく。それがわかっていても、人はついさまざまなことに執着してしまうものです」と、「放下着」の難しさを説明しています。
そのうえで、枡野さんは、「放下着」について、「『すべての思慮分別や経験などもいっさい捨てなさい』と教える言葉です」と解説しています。ビジネスパースンに向けても、「過去のキャリアや成功体験にしがみつくことは、仕事を後退させることと同じです」として、「放下着」の勧めを説いています。
あわせて読みたい
枡野俊明さんの本「禅、シンプル生活のすすめ」を読んで 禅は深くてやさしい「生きる知恵」の宝庫
坐禅は静の修行 掃除は動の修行 枡野俊明著「片付ける 禅の作法」を読んで、心を磨く掃除の大切さを痛感
リーダーが座右の銘とすべき禅語は? 「リーダーの禅語」(枡野俊明著)から学ぶ
朝型になる方法を枡野俊明さんの本から学ぶ 世界でも、多くの朝型の人々が活躍
平井正修さんの解釈
全生庵(東京都)住職の平井正修さんも著書「男の禅語」の中で、この禅僧の厳陽(ごんよう)尊者と趙州禅師の対話を紹介したうえで、「何にも執着を持たず、一切をさっぱりと捨て去ること、無一物に徹すること。しかしそれは至難の業です。だから、『すべて手放しました』と言って、悟り臭さのようなものが残っているうちは、まだまだなのですね。何も言わずとも、なぜかその人と一緒にいると、まわりの人間がよき感化を受けていく。そんな人が本物なのでしょう」と書いています。
平井さんは、男性よりも女性のほうが捨てるのが上手であることを指摘、「『ものと一緒に思いも捨ててしまう』というのはなかなか効果的な方法です。片づけや整理整頓も、まずは捨てなければ進みません」として、「まずは目に見えるものを捨てることから、始めてみればいい」と、「捨てる」ことを勧めています。
ものを持たない生き方をしているミニマリストにも通じるものでしょう。
まとめ
放下着 ほうげじゃく
一切の執着を捨て去る
過去の栄光に縛られない
プライドや余計な心配事は捨てる
捨てれば本当に必要なものが入って来る
好きな禅語 pic.twitter.com/nznX0nao5l— 書家 玲泉(Reisen) (@Shihok0629) January 29, 2024
私は数年前、海外駐在などのため、20年以上ほとんど住んでいなかった自宅マンションを全面リフォームしたことがあります。不要なものも多く、ひとつひとつ捨てるのに多大なエネルギーを費やしました。貯めこんでいても、役には立たない。運気を下げてしまうこともある。そんな思いを強くしました。
最低限、必要なものに絞って生活する。そして、ものよりも、心穏やかに生きることを優先する。「放下着」の意味をたびたび、かみしめています。
あわせて読みたい
無功徳とは? どんな意味の禅語? 無功徳の出典は達磨大師?
禅語の非思量の意味とは? 怒らない、怒りを抑える方法を禅の本で学ぶ【心に響く禅語】
自灯明とは? 読み方や意味をわかりやすく解説! 瀬戸内寂聴さんらの解釈にも注目。
執着しない方法や、小欲知足、無分別の意味を知って生きる 「ためない練習」(名取芳彦著)の感想から
愛語とは、道元禅師の禅の言葉 どんな意味がある? 「ありがとう」の言葉も大切に
冷暖自知とは、どんな意味の禅語? 冷暖自知は、座右の銘にもなる、いい言葉
知足とは、どんな意味の禅語? 知足者富の読み方や意味は?【心に響く禅語】
道元禅師の名言「欠気一息あるべし」から、座禅のありかたを学ぶ
而今(にこん)の意味は? 今、この瞬間を大切に生きる 禅の言葉をかみしめて 【心に響く禅語】
立禅の簡単なやり方や適切な時間は? 姿勢、呼吸、心を整える効果を実感しましょう
あわせて読みたい
朝日新聞デジタル 紙面との違いは? レビューでメリット、デメリットを比較
就活におすすめの新聞は、どこの新聞? いつから読むべきか?
就活のための時事問題対策 新聞のニュース記事で勉強 読まないと不利にも