「半七捕物帳」の作者は誰? 「半七捕物帳」が傑作で、おすすめの理由は?

 江戸時代を舞台とした推理時代小説「半七捕物帳」は今も多くの人々に読まれています。「半七捕物帳」の作者は誰でしょうか。また、「半七捕物帳」が傑作で、おすすめの理由はどんなことにあるのでしょうか。「半七捕物帳」の面白さを含めて探ってみました。

「半七捕物帳」の作者は誰?

 「半七捕物帳」の作者は、岡本綺堂(本名・岡本敬二)です。1872年(明治5年)、東京・高輪に生まれ、高校卒業後は24年間、新聞記者として多くの記事を執筆しました。記者時代から、小説や劇評も書いて活躍、1913年(大正2年)からは、小説家、劇作家に専念して多くの作品を発表しました。

「半七捕物帳」が傑作で、おすすめの理由は? 江戸時代の岡っ引き・半七が大活躍!


 
 「半七捕物帳」が傑作で、おすすめの理由は、江戸のシャーロック・ホームズである岡っ引きの半七が縦横無尽に活躍するところにあるでしょう。また、江戸の町の様子や風俗もわかり、江戸時代を深く理解することができます。

 「これらの探偵談は半七としては朝飯前の仕事に過ぎないので、それ以上の人を衝動するような彼の冒険仕事はまだまだほかにたくさんあった。彼は江戸時代に於ける隠れたシャーロック・ホームズであった」

 岡本綺堂は第一作の「お文の魂」で、半七の人物像をこう設定しています。綺堂は、原書で、英国の作家コナン・ドイル作の「シャーロック・ホームズ」を読んで、探偵小説の魅力に引かれました。

 ただ、同じような小説では面白くないとして、江戸を舞台に小説を書くことを思いつきました。推理小説と江戸時代をミックスした豊かな発想が、この探偵小説を魅力的なものにすることになりました。

 「半七捕物帳」は、新聞記者の作者が、岡っ引きだった老人から様々な話を聞くという形で書かれています。綺堂自身が新聞記者だったことからヒントを得たものと思われます。この作者の設定も、また、面白いものです。

 「その茶話のあいだに、わたしは彼の昔語りをいろいろ聴いた。一冊の手帳は殆ど彼の探偵物語でうずめられてしまった。その中から私が最も興味を感じたものをだんだんに拾い出していこうと思う、時代の前後を問わずに—―」と、綺堂はやはり第一作の「お文の魂」の終わりで書いています。

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 「半七捕物帳」を読むと、江戸時代の様子も描写されています。

 武家屋敷
 長屋
 小間物問屋
 貸本屋(読本や草草紙など)
 寺院
 神社

 などが出てきます。

 「半七は安藤坂をのぼって、本郷から下谷の池之端へ出た。きょうは朝からちっとも風のない日で、暮春の空は碧い玉を磨いたように晴れ輝いていた」。

 本郷や池の端はもちろんですが、安藤坂も実際に残っています。こんな小説の一部分を頭に入れて、現地を歩くと、ふっと、江戸の、ある日に巡り合えそうな気持ちになります。この地域は江戸時代、どんな場所だったのか想像するのは楽しいものです。

 江戸時代には、町の司法・行政を司る町奉行がありましたが、その下部組織は、

 与力
 同心
 岡っ引き
 手先

 という順になっていたとの説明もあります。

 また、武家では、長男がその家を継ぎましたが、次男や三男は多くが無役の閑人であったことも書かれています。小説を丁寧に読み込んでいくと、知らない事実も多く、江戸への関心が一層、高まります。

 舞台は江戸時代ですが、

 不安に感じたり
 家族の幸福を喜んだり
 悲劇に嘆いたり
 怒ったり

 と、人々の生き方や考え方は現代と通じています。人間の心理描写も底流に流れ、この探偵小説を面白くさせています。これが、古さを感じさせない要因でしょう。

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まとめ

 「半七捕物帳」は全部で68作です。時々、手にして読み返し、江戸時代の雰囲気、庶民の生き方を味わうと、とても、豊かな時間を過ごすことができます。

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