深みのある語彙の多さに圧倒されました。明治大学教授の斎藤孝さんが書いた新刊「語彙力こそが教養である」(角川新書)を読んでの感想です。本の中には、斎藤教授が選んだ語彙、言葉がたくさん出てきます。古典・名著などから、豊かな語彙を学んで、教養に磨きをかける。今後、この習慣を大切にしていきたいと思います。
「いちばん伝えたいのは、『語彙が豊かになれば、見える世界が変わる』ということ。人生そのものが楽しくなるということです」
斎藤教授は、まえがきで、こう書き、語彙の重要性を指摘しています。斎藤教授は、古典・名著からミステリー、エッセイなど王道の読書をはじめ、テレビや映画、音楽、インターネットなどから語彙をインプットする方法や、アウトプットで定着させ、「実際に使える言葉」に変えていくトレーニング方法などを紹介していますが、この中で、私が特に、興味を持ったのは、読書による語彙のインプット方法です。
「語彙力アップには名著が近道」としている第2章です。斎藤教授は、「インプットの王道は、『毎日の読書』」として、「本を読む習慣が、半年後、1年後、5年後の語彙を作り、あなたをつくっていくのです」と書いています。
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「三顧の礼を尽くす」「千載一遇」「白眉」などは中国の古典「三国志」にある言葉です。「心頭滅却すれば火もまた涼し」(杜荀鶴)、隗より始めよ」(戦国策)、「危急存亡の時」(史記)なども中国から入ってきた言葉です。孔子と弟子たちの問答をまとめた「論語」にも、「君子和して同ぜず、小人は同じて和せず」「巧言令色、鮮し仁」などがあります。
「色即是空」「行雲流水」などは仏教由来の言葉です。斎藤教授は、「『文は人なり』。考え方と語彙がセットになっている」として、作家の三島由紀夫や、寺山修司、みうらじゅんさん、リリー・フランキーさんらのエッセイをはじめ、ドストエフスキーやチェーホフ、ツルゲーネフら重厚で難解なロシアの作家、さらには、レイモンド・チャンドラーらの海外作家のミステリー、「世界最高の語彙」を持っているシェイクスピアらを読んで、語彙を学ぶのがいい、と説いています。
一つ一つの語彙を読んでいくと、自分の勉強不足がよくわかります。知っていても、本当の意味を理解していない言葉もあります。まずは、この本に出て来る言葉をもう一度、読み返して、意味とともに学ぼうと思っています。実際に使って、自分の語彙力に定着させることが必要でしょう。
「語彙力は知的好奇心に比例します」
斎藤教授は、あとがきで、こう書いています。斎藤教授は、世界一流のサッカーや、甲子園の高校野球、錦織圭選手に代表されるプロテニスなどスポーツ観戦と、日々のあらゆる気づきをバイタリティーの燃料にしているといいます。私も、歴史を感じての街歩きや、江戸、禅の研究、読書などを通じて、知的好奇心を高めながら、語彙力を着実に身に付けていきたいと思います。
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