「両国さかさかさ」 天からの恵みの雨を集めて、花壇への水やりや打ち水などに有効活用

 江戸や明治を感じて歩く歴史散歩の途中でも、「現代の知恵」に出会うことがしばしばあります。「両国さかさかさ」(天水収穫装置)という、ちょっとユーモアのあるネーミングの装置も、その一つでしょう。天からの恵みである雨水を集め、その水を花壇への水やりや打ち水などに有効活用しているのだそうです。JR両国駅北口の国技館近くにありました。

 名前同様、形もユニークです。大地から空に向けて広がる「逆さ傘」をコンセプトに作られたといい、その形を見ると、その仕組みがすぐにわかります。装置の上部に付けた逆三角形の屋根で降った雨を集め、雨樋を通じて、下部にある容量600リットルのタンクに貯めておきます。そして、花壇への水やりなどに役立てます。

 「雨を『よける』のではなく、『集めよう』。都会ではとかくやっかいもの扱いされがちな雨。しかし、雨なしには草花も育ちません。雨はありとあらゆる生命の源です。大地を潤し、緑を育み、地下水となります。豊かな地下水は湧水となり、川は豊かな流れをもたらします。コンクリートやアスファルトが目立つ東京のまちも、実は空と大地の間を循環する雨によって支えられているのです」

 この装置の説明を読むと、雨の大切さが実感できます。

 ライオンとNPO法人の雨水市民の会が2008年から、「雨の恵みプロジェクト」を推進しており、「両国さかさかさ」はその一環として、2010年に設置されました。
 
 自然に目を向ける。雨は時に、洪水など自然災害を起こすこともありますが、うまく共存することが重要であることを改めて、考えさせてくれます。「両国さかさかさ」は、そんなきっかけを与えてくれました。両国には、名所・旧跡もたくさんありますが、また、一味違った面も見て、豊かな旅になりました。

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「両国さかさかさ」の仕組み