独学の大切さを知る 定年後のシニアだけでなく、ビジネスパーソンや学生も対象に

 昨年末、会社を定年退職しましたが、独学が定年後の人生にとって、大切なテーマになると思っています。ビジネスパーソンや学生も忙しい時間を調整して、自分の目標を見定めて、独学することが大切でしょう。そんなことから、「東大教授が教える独学勉強法」という、ちょっと面白いタイトルの本を購入し、読んでみました。

 東京大学経済学部教授の柳川範之さんが書いた本ですが、柳川さんの経歴はとてもユニークです。柳川さんは、銀行員だった父親のブラジル赴任に伴って現地で暮らしましたが、ポルトガル語が公用語の現地高校には通わず、日本から参考書や教科書を買い込んで、自分で勉強しました。その後、日本に帰国して大学入学資格検定(大検)を受けましたが、今度は、父親のシンガポール勤務に伴い、シンガポールに行き、今度は、慶應義塾大学経済学部の通信教育課程で学びました。

 「独学は、これからの学び方の基本になってくるコンセプトであり、生活をより豊かにしてくれるものです。なぜなら、これからは自ら学び、自分で考えていくことが求められる時代だからです」

 「自分が知りたいことを知り、自分の頭で考えることです。それは、本来、かなり楽しいことのはずです」

 柳川教授のこれらの言葉は、独学の真髄を説いたものになっています。熱意を持って、自分の知りたいことを学ぶ。こんな基本姿勢を身に付けたいものです。

 勉強の本質は「考えること」
 生き残るためには応用力と独創力を身につけよ
 勉強は加工業、自分の中での「熟成」が大事
 (独学の)最大のメリットは「自分のペース」で勉強できること
 参考書やテキストはいきなり1冊に絞らず、必ず何冊か目を通すようにする
 自分で自分を評価する力がつく
 自分で勉強してみると、人生の選択肢が広がる
 みんなが良いと言っている本であっても、自分に合わなかったらさっさと捨てることが大事
 勉強や学びのプロセスとは、実は、いったん押し返してみること。偉い先生が言ったことを鵜呑みにするのではなく、教科書でも本でもそこ で得た知識を自分なりに組み立ててみること
 何でも疑ってかかるクセをつける
 勉強は、疑問を持つことができれば、いくらでもおもしろくなる
 まずはとっかかりの入門書を3冊買う
 誰が書いているかを目安に教科書などの本を買う
 本は少なくとも2回読む
 マーカーを引くより、繰り返し読んだほうが身につく
 「熟成」は勉強において一番大事な工程
 人に伝えようとすることで学びはさらに深まる
 自分の言葉でやさしくブログなどに書く

 ひとつひとつ、深く考えさせられるものばかりです。

 ジャーナリストの池上彰さんや作家の佐藤優さんの提言に従い、私も、高校や中学の教科書、参考書で学んでいます。最近は、10年前に欧州に赴任する際に購入した参考書「チャート式新政治・経済」を引っ張り出して、再読しています。軽い内容のビジネス書がある中で、この参考書は、国際社会の変容と日本、民主政治の基本原理、日本国憲法と基本的人権、日本の政治機構、国際政治と日本、現代経済の仕組み、国民経済と国際経済などが解説され、読み応えがあるものとなっています。

 早朝、起きたら、1、2時間、読むことにいています。柳川教授の教えに従い、まずは、マーカーを引かず、繰り返し読み、考えることを自分に課しています。

 海外では、思う存分、日本語の本を読むことができませんでしたが、今の日本には、豊富に本があります。この恵まれた環境の中で、柳川教授の教えを胸に、大いに独学を進めていきたいと思っています。