ワインはもっと気軽に飲みたいものだなあ、と改めて思いました。生産地はどこで、どんな特徴があるのか、など詳しいワイン知識がなくても、肩ひじ張らず、安くても美味しいものを飲みたいものです。自分の好きな味を追求していく楽しさとも言えるでしょう。「男と女のワイン術 2杯め グッとくる家飲み編」(伊藤博之、柴田さなえ共著)を読んで、そう感じました。
「(ワインは)食を豊かにすることだけは間違いありません。ワインは、栓が抜かれたところに団欒を生む不思議な力を持ち、国際認識を生みます。この日本で、ワインをもっともっと飲んでもらいたいと願っています」
著者の伊藤さんは、本の「はじめに」で、こう書いています。
ワインというと、難しいというイメージがありますが、伊藤さんと柴田さんは前作の「男と女のワイン術」で、「自分好みの味わいを知ることで、ワインの知識がなくても、レストランなどの飲食店でワインを頼めるようになる方法」(柴田さんのあとがき)を書きました。今回の第2作はさらに一歩進めて、ワインを自ら身近なスーパーで選べるように指南しています。
伊藤さんらは、アルコール類が販売できるようになって10年が過ぎたスーパーを全国で50店近く歩き、のべ1万点のワインをチェックしました。10か国17種のワインで、チェック項目は、ワインの取り扱い総数、最低・最高価格、どのスーパーでも比較的取り扱いがあるであろう銘柄の有無のチェック、どんな生産国のワインを取り扱っているのか、に及びました。日本に流通しているワインの最前線調査です。
第1章「なぜスーパーでおいしいワインにありつくのはこれほど難しいのか」で、「どうすればスーパーで好みの1本を選べるの?」「ワインショップとスーパーの品揃えはねで違う?」「この10年ほどでワイン売り場が広がった本当の理由」などを解説。
そのうえで、
第2章「まず買うべきは『フランスワイン』。味わいの基準を押さえる」
第3章「高コスパ『チリワイン』は、ちょっとした知識でもっと楽しめる」
第4章「初心者泣かせの『イタリア』&『スペイン』。手がかりはまずここから」
第5章「個性あふれる『席Aのワイン』を飲みこなすために知りたいこと」
第6章「どちらを買うか。迷った時こそ、ワインをより深く知るチャンスなのだ」
を書いています。
チリ、スペイン、ドイツ、アメリカ、南アフリカな世界のワインの特徴は何か、ワインの生産量、栽培面積、さらには歴史はどう変わってきたのか、などがわかります。果実味、酸味、渋みの3つの味わいを知ることが自分の好みに近づく道であることも書かれています。通読するだけでも楽しいですが、今後、ワインに出会ったら、その都度、この本を開いて、そのワインの特徴を知るのも役立つことでしょう。
私はワインの本場・フランスに通算4年、その他の国々を含めると欧州には約15年間滞在し、ワインを飲みました。もちろん最初は、ワインをよく知りませんでしたが、一番安い「テーブルワイン」を買い、飲み始めました。フランスでは、ボルドーを飲み、次第に、1種のぶどう種で作られ、さまざまな持ち味を出すブルゴーニュのワインを好きになりました。果実味の強い地中海地域のラングドック産ワインも時々、楽しむようになりました。
イタリア・トスカーナ地方の赤ワイン「キアンティ」、甘口で果実味の強いオーストリアワイン、ハンガリーの貴腐ワインも懐かしい味です。高価なロマネ・コンティも飲ませていただいたこともあります。
ソムリエの方々のように、ワインに関する知識は深くありませんが、次第に、自分の好みの味が自分の舌でわかるようになった気がします。
何か基準値のようなものです。
「ワインは『失敗も糧』、選び間違いも確実に経験になります。ワインは不思議な液体で、飲めば飲むほど、さまざまな個性に触れるほどに、もし好みのワインでなかったとしても、『嫌い』『まずい』などネガティブな気持ちを持たなくなっていきます。『こういうワインもあるんだな、勉強させてもらったな』と1本1本経験として捉えられるようになるはずです」
「好みのワインを飲み続けると、自然に経験値が上がる」
本ではこう書かれています。
日本に帰ってくると、美味しい日本酒や焼酎、ビールなどがあるため、ワインを飲み機会は減りますが、今度は、スーパーに行って、自分の好みのワインを見つけたいと思っています。10年前に比べれば、価格も大幅に低下しているように感じます。赤、白、ロゼで、自分の好みのワインを日本産も含めて探し出したいと思います。きっと楽しいワイン巡りになるはずです。