「筆まめ」の大切さ 1字1字 思いを込めて葉書や手紙を書く 本多静六博士も、筆まめの効用を説く

 「筆まめ」は大切だと思います。愛用の万年筆で、1字1字、思いを込めて葉書や手紙を書く。手書きの良さも見直したいと思っています。

  万年筆の魅力を初めて感じたのは、会社の先輩が万年筆で葉書を書いているのを見た時です。もう30年くらい前になるでしょうか。その時の先輩は、インク瓶からインクを吸い上げ、太字の万年筆で、丁寧に、文字を書いていました。お礼の葉書でした。インクの風合いがいいと思いました。最後に、楕円形のインク取りで、葉書を上をなぞって葉書書きを終えました。

 私もそれ以来、万年筆で葉書や手紙を書いています。字はうまくありませんが、相手を想い、気持ちを込めて書いています。旅先で買った絵葉書、記念切手を貼ることも多くあります。自分だけの、たった1枚の葉書や手紙になります。

 フランスから帰国する時に同僚にプレゼントしてもらったフランス製の万年筆や、蒔絵の入った万年筆、「第5世代」と呼ばれる最新型のペンを使っています。使いこなしているため、自然と手になじんでいます。メールなら、すぐに、自分の気持ちを伝えられますが、手書きのハガキや手紙も、また、一味違っていいものです。受け取った時は、うれしい、懐かしい気持ちで一杯になります。

 「『筆まめな人』にチャンスは集まる」

 本多静六・林学博士は、こんな言葉で、筆まめになることを勧めています。

  「成功している人は絶えず緊張して、あらゆる面に努力するから、自然、筆まめにもなり、先輩、知友などには時々通信して親交を結んでおく。そして、そのもっとも成功すべき人は、先輩、知友に決して無沙汰はしないが、自分一身上のことはいっさい頼みにいかないという人である。その代りそういう人には、か えって先輩、知友の方から、何かと仕事をくれたり、種々有益な用件を頼まれることになり、ついに成功のもととなるのである」(著書「成功するためにシンプ ルな話をしよう」から)

 当然でしょう。葉書などを書くのは、成功するためだけではありませんが、気持ちを込める、という大切さがわかります。