本多静六博士 毎日、原稿用紙1枚以上の文章を書く 【偉人のスタイル】

 日本の林学を確立した本多静六博士の著作には、学ぶべき習慣や教訓がたくさんあります。本多博士が、「書く行(ぎょう、行為)」と呼んだものもその一つです。価値のある文書を毎日、原稿用紙1枚(14行32字詰め)以上、書く――。そんな習慣です。

 一生涯で書いた本は376冊。その内訳は、教養書53冊、林学書58冊、庭園関係126冊、旅行記104冊などです。膨大な量で、驚かされるばかりです。

  本多博士は25歳の時、「毎日14行32字詰めの文章、しかも印刷価値のある文章を1枚ずつ、50歳まで、必ず書く」という行(ぎょう)を始めました。1週間の旅行の際など、最初はなかなか書けなくて、苦しかったそうですが、先に先にと書くことで、この分量を書き続けてきたと言います。

  「少し辛抱して書き続けると面白く、道楽になる」と本多博士は書いています。50歳を過ぎて、行はすんだものの、長年のクセが続き、結局、376冊もの著書を書くことになりました。本多博士には、まさに上記の言葉のように、職業の道楽化という考えがありますが、この文章執筆もその一つです。

 「天才とは何ぞや、勤勉是也(きんべんこれなり)」。本多博士は、ゲーテの天才論の中の一文を読み、「ゲーテも俺と同じこうとを言うておるわい」と書いています。

  若いころから将来を見据えて、なすべきことを決め、継続するということでしょう。蓄積が力になることがわかります。「印刷価値のある文章」を書くのは簡単ではありませんが、日々、勉強して、文章の内容を高めることが大切になります。

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