
「知足」は、曹洞宗の開祖・道元(鎌倉時代の僧)の説法「八大人覚(はちだいにんがく)」に出て来る禅語です。知足とは、どんな意味の禅語でしょうか。また、同じような言葉に、老子の「知足者富」がありますが、知足者富の読み方や意味はどうなっているのでしょうか。知足、知足者富についてまとめました。
知足とは、どんな意味の禅語?
「知足」
道を求めて、高く、大きな志を持ちながら、
今、生きていることに感謝の心を忘れない!#書道#彩雲の書 pic.twitter.com/g0XHJfTOo6— 書家 虹嶺庵 梅谷 彩雲 (@saiunrainbow) February 18, 2025
「道元『禅』の言葉」(境野勝悟著)によると、境野さんは以下のように、知足の意味を解説しています。
「『足る』を知れば、だれもが、簡単に苦痛 から解放され、人生の悩みが消える。いままでの人生の何か一つでも満足して感謝すれば、心安らかになる」。
「いま」に満足することをもう一度、かみしめたいものです。自分の人生を振り返り、豊かさを感じ取れます。
不満に思うこともあるでしょう。ただ、そんな中でも、その不満を口に出すのではなく、いままで生きることができたことに改めて感謝する――。そんな原点に立つことがきます。不安や不満は、自分と対話することで和らぎます。
「ひとのしぬるのち、さらに生とならず」
境野さんは、道元の別の言葉も紹介しています。
「人が死んでしまったら、二度と、この世を楽しみ、この世を遊ぶことはできない。ああ、なんと素晴らしき人生。自分の人生を無報酬で支えてくれた大宇宙の偉大な『生命』に『ありがとう』と合掌したとき、今日の一日が輝く」と境野さんは解説しています。
知足にも通じます。
知足者富の読み方や意味は?
【強行者有志】
昨日の「知足者富」のその後に「強めて行う者は志有り」と続きます。
満足することを知っている者は心が豊かであり、努力を続ける者はすでに志がある。必要以上の何かを手に入れようと欲求するのではなく、周囲への感謝や志をもって毎日を過ごしていく。Xの仲間がそのものですね。 pic.twitter.com/pzz4Y7Vcmu
— はっしー|法人顧問FP (@hashidate555) November 21, 2023
老子の「知足者富」は、「足るを知る者は富む」という読み方をします。
知足者富の意味は、道元の「知足」と同じでしょう。「知足者富」もしっかり覚えておきたい言葉です。
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道元の「八大人覚」とは
釈尊最期の『遺教経』の八大人覚を道元禅師も54年の生涯を閉じられる最期にとりあげられその一つ一つに短い言葉を添えられた
「もろもろの善法において勤修無間、故に精進という
精にして雑らず進んで退かず」
「勤精進」に添えられた言葉で
沢木老師の小鳥の例話は「精にして雑らず」として語られた— s.j. (@s74481495) February 11, 2025
「八大人覚(はちだいじんがく)」とは、お釈迦様の最後の教えとなった「遺教経」で説かれたもので、悟りを得るために必要になるものです。道元も53歳の時、自らの死期を感じて、「正法眼蔵」で説きました。知足のほかには、
「少欲(しょうよく)」 欲を持ち過ぎない。欲こそが苦しみや悩みの種。
「楽寂静(ぎょうじゃくじょう)」 静かな場所に行く。世の中は沼である、入り過ぎると溺れる。
「勤精進(ごんじょうじん)」 やりたいことを一つにしぼる。
「不忘念(ふもうねん)」 自分の「あるがまま」を受け入れる。
「修禅定(しゅぜんじょう)」 一歩引いて見つめてみる。
「修智恵(しゅうちえ)」 前向きの話を聞く。
「不敬論(ふけろん)」 口論中でも相手を傷つける言葉は使わない。
があります。それぞれの解釈は、境野さんのものです。じっくり読みたいものです。
まとめ
永平寺に参拝🙏
曹洞宗大本山。1244年に道元禅師によって開かれた坐禅修行の道場で、現在も多くの若い僧が修行をしている。 pic.twitter.com/47XVZYclCE— karna (@yskarys) May 23, 2023
「(道元の)名前は知っていても、道元が著した『正法眼蔵』九十巻の全体を読み通せた人はほとんどいない」と境野さんは書いています。
難解とされるのが「正法眼蔵」が敬遠される理由ですが、道元の言葉を知ると、禅の思想を深く学んでいきたい気持ちが強くなってきます。
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