北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返しています。多くは、太平洋の日本の排他的経済水域(EEZ)の外に落下していますが、なかには、日本の排他的経済水域(EEZ)の内側に落下したケースもあります。また、2022年10月4日には、北朝鮮による弾道ミサイルが日本上空を通過して、太平洋の日本の排他的経済水域(EEZ)の外に落下しました。日本上空通過は2017年以来、5年ぶりで、飛行距離は過去最長の約4600キロとなりました。
排他的経済水域の意味とは、どうなっているのでしょうか。排他的経済水域はいつから適用されたのか、領海との違いは何か、沿岸国(日本)の権利はどうかなど、排他的経済水域について簡単にわかりやすく解説しました(写真は、2019年10月3日付の読売新聞の記事)。
排他的経済水域の意味とは? 排他的経済水域はいつから適用?
【速報】北朝鮮の弾道ミサイル、日本のEEZ外に午前9時37分ごろ落下推定https://t.co/mkpnsNnqSp
防衛省は、北海道の奥尻島の西約250kmの日本の排他的経済水域の外側の日本海に落下すると推定している。ミサイルは通常より高い角度で打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射された可能性があるという。 pic.twitter.com/TjA9dkZu9Y
— ライブドアニュース (@livedoornews) December 18, 2023
海洋を公海と領海で分けるという考えは世界各国で共通認識としてあったものの、長年、領海の範囲で国際合意が成立しませんでした。
第一次国連海洋法会議(1958年)も、第二次国連海洋法会議(1960年)も、領海の範囲を確定できないままで終了、中南米諸国には200カイリ以内の水域が領海と主張する国もあって、混乱を増しました。
こうした対立の中、沿岸国には水産、天然資源の開発などを認めるかわりに、船舶の自由航行も認める排他的経済水域を沿岸から200カイリ以内の水域に設定しようという動きが強まり、領海を12カイリ以内の水域とするという妥協が成立しました。
国連海洋法条約で、1982年の第三次国連海洋法会議で採択され、1994年批准され、成立しました。すでに、25年の歴史があります。
排他的経済水域の意味とは? 排他的経済水域(EEZ)の範囲
【北朝鮮ミサイル】
北朝鮮によるミサイル発射事案に係る関連情報を掲載しました。https://t.co/Ku0K0SrClh pic.twitter.com/shi3EZNvqw— 首相官邸(災害・危機管理情報) (@Kantei_Saigai) December 17, 2023
排他的経済水域(EEZ)は英語で、exclusive economic zoneの略です。
国連海洋法条約(1994年発効)で、国の沿岸(領海の基線)から200カイリ(約370キロ)以内の海域と規定されています。
「経済水域」とも略称されます。
排他的経済水域の意味とは? 領海との違い
落下は「大和堆」周辺か 北朝鮮ミサイル #nhk_news https://t.co/BaWUh36yWq
— NHKニュース (@nhk_news) October 2, 2019
領海、排他的経済水域、公海の範囲は以下のようになっています。
・領海 沿岸から12カイリ(約22キロ)以内の水域
・排他的経済水域 沿岸から200カイリ(約370キロ)以内の水域
・公海 排他的経済水域の外側
国の沿岸から近い順に、
領海
排他的経済水域
公海
で、排他的経済水域は、領海と公海の中間に位置しています。
排他的経済水域の意味とは? 排他的経済水域で沿岸国(日本)に認められる権利は?
【北朝鮮ミサイル】
総理は、北朝鮮によるミサイル発射事案について、
1 情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと
2 航空機、船舶等の安全確認を徹底すること
3 不測の事態に備え、万全の態勢をとること
の3点について指示(8時29分に指示)。— 首相官邸(災害・危機管理情報) (@Kantei_Saigai) December 17, 2023
沿岸国の認められる権利は以下の通りです。
・水産(漁業)資源の開発、管理
・天然・鉱物資源の探査、開発、管理
・自然エネルギー(海水、海風など)の探査、開発
・人工島、施設の設置
・海洋科学調査
ただ、外国船はEEZ内を自由に航行でき、他国が海底にケーブルを敷設することもできます。水産、天然資源の開発などは領海と同じ、船舶の自由航行などは公海と同じで、まさに、領海と公海の中間であることがわかります。
北朝鮮のミサイルは危険ではないのか?
北朝鮮は12月17日22時37分頃、北朝鮮西岸付近から、1発の弾道ミサイルを、東方向に向けて発射しました。詳細については現在分析中ですが、落下したのは朝鮮半島東側の日本海であり、我が国の排他的経済水域(EEZ)外であると推定されます。https://t.co/thPvrgCzfJ pic.twitter.com/mfJCTw4f0q
— 防衛省・自衛隊 (@ModJapan_jp) December 17, 2023
もちろん危険です。これまでに直接的な被害が出ていませんが、この排他的経済水域の内外で操業している漁船や、上空を飛行している航空機にあたる恐れが常にあります。死傷者が出ることもあります。
また、ミサイル燃料が海洋を汚染する可能性もあります。
排他的経済水域の特性から見れば、日本や国際社会に対する重大な挑発行為で、主権侵害に近いものであることもわかります。国際法を無視した北朝鮮の行為は決して、許されるものではありません。
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