
「片時雨、狐の嫁入り、夜春(やしゅん)、風の実・・・あなたはいくつ知っていますか」。こんな文字が表紙に踊る本があります。「雨のことば辞典」(倉嶋厚、原田稔編著)です。雨の呼び名、雨がつく言葉の意味をこの「雨のことば辞典」の本で学ぶことができます。日本の四季を実感しましょう。
雨の呼び名、雨がつく言葉の意味を「雨のことば辞典」で学ぶ 日本の四季を実感しよう
本日のおすすめ本
『雨のことば辞典』倉嶋厚・原田稔 編著
この時期こそしみじみ読みたい一冊。パラパラめくると飛び込んでくる雨にまつわる表現がとても楽しい作品です。いま中の人Lが開いたら「白映え」とあって、じっくり読んでしまいました…!https://t.co/dNpsozJX5k@kodansha_g #梅雨入り pic.twitter.com/lLC8h2xoXT
— 講談社 電書くん (@DenshoKun) June 14, 2025
「日本の上空には『空の水道』が集中している。台風、梅雨前線、秋雨前線、温帯低気圧、雷雲、冬の季節風による雪雲の行列などである」
倉嶋さんは、まえがきでこう書いています。
「空の水道」というのはとても面白い表現です。印象に残ります。倉嶋さんはそのうえで、日本人は古来から米作りをする中で、災害と恵みの両方を持ってくる雨と付き合いながら、暮らしてきたので、日本には、雨のことばが特に多いことを説明しています。
ページを繰ると、興味深いことばばかりです。1190余の雨の呼び名、雨がつく言葉が紹介されています。
表紙に書かれた
片時雨は、片方の空からは時雨が降り、他方では日が射しているような状態
狐の嫁入りは、日が射しているのに雨が降ること
夜春は、夜の雨のこと
風の実は、愛知県知多半島の言葉で、風まじりに降る小雨のこと
をそれぞれ意味しています。
米作地帯に特に、雨のことばが多いといい、独特の味わいのあるものがあります。もう少し、引用してみましょう。
雨風しんまつは、鹿児島県地方でいう激しい雨です。
あまくしゃーは、雨がいまにも降りそうな空模様を指す熊本県下益城地方の言葉です。
縦洪水は、大雨が激しく降り注ぐことで、山梨県南巨摩、長野県諏訪地方の言葉です。
木の芽おこしは、春の初めの木の芽時に降る雨で、徳島県美馬地方の言葉です。
ひとつひとつの言葉をかみしめ、口に出して読むと、そのイメージがわいてきます。
「雨のことば辞典」は、あいうえお順で、雨の言葉を引くことができます。また、本の最後には、春夏秋冬の季節に沿って引くことができる「索引・四季雨ごよみ」もあり、さまざまな雨の言葉が探しやすくなっています。また、
雨の降るしくみ
日本の雨の特徴
雨の強さ
梅雨のしくみ
時雨と無情の雨
雨の季語
などのコラムが随所にあるのもうれしいポイントです。
小野小町が和歌を詠んで雨を降らせたことから、「雨乞い小町」の伝説が生まれ、その言い伝えが浄瑠璃や歌舞伎で作品化されたそうです。文学や歌などでも、雨が描かれています。
まとめ
日本の雨は四季の移ろいと共にその様相が千変万化する。その様々な雨の姿を捉え、日本語には、陰翳深く美しいことばが数多くある。雨は文学作品にも度々描かれ、詩歌にも詠まれてきた。
#今日買った・届いた本を紹介する
『雨のことば辞典』@bookworm_hon
日常的な読み物として、打ってつけです🥰 pic.twitter.com/f16lsiA6ff— 𝕂𝕖𝕚📚 (@s4t02h1) October 30, 2024
この辞典を何度も読み返すとともに、詩や小説を読み、歌を聴く中で、自分にとって大切な雨のことばも集めていくと楽しいでしょう。
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