無功徳とは、どんな意味の禅語? 無功徳の出典は達磨大師? 座右の銘にしよう

 「無功徳(むくどく)」という禅語は、大切にしたい生き方を示してくれる言葉の一つです。無功徳とは、どんな意味の禅語でしょうか。また、無功徳の出典は達磨大師でしょうか。建功寺(神奈川県)住職の枡野俊明さん、境野勝悟さん、そして、全生庵(東京都)住職の平井正修さんの著書から、「無功徳」についての解釈をまとめてみました。無功徳を座右の銘にしましょう。

無功徳とは? どんな意味の禅語? 無功徳の出典は達磨大師?

 3人の方とも、まず、禅語の「無功徳」が達磨大師の言葉であることを指摘しています。

 枡野さんの著書「おだやかに、シンプルに生きる」によると、昔、梁(りょう)という国に武帝がおり、その武帝が、自分は仏教の興隆のためにお寺を自費で建て、一生懸命、写経もしてきたといいます。そのうえで、武帝は「いったいどのような功徳が私には与えられるのでしょうか?」と達磨大師に尋ねました。

 これに対して、達磨大師は一言、「無功徳」と答えました。枡野さんは、「要するに、禅的な行為というものは、いっさいの果報を求めないことが基本なのです」と解説しています。

 深く考えさせられる言葉です。

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 境野さんも著書「心がスーッと晴れる一日禅語」の中で、「たとえ、友だちにいいことをしたり、いいものをあげても、あれもした、これもしたと、恩に着せたり、鼻にかけたり、お礼をいわれたりしようとしない。まず、人にものをあげる余裕のあることに感謝せよ・・・と。人に親切にしても、ご利益は求めない」として、「見返りを期待しない」ことが大切であることを強調しています。

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 また、平井さんも著書「男の禅語」の中で、「『したことは報われるはずだ』と考えているから、苦しみがはじまるのです。・・・見返りを求める心から解放され、『自分がしたことは、やっただけで終わり』となるのなら、余分な負担がなくなり、常に心を軽くして生きられるに違いありません」として、境野さんと同様、「見返りを期待しない『潔さ』」の重要性を説いています。

 見返りを求めない。そうすることで、穏やかな心を保つ。そんな生き方の大切さがわかります。なかなか実践が難しいですが、常に心に留めておきたい禅の言葉です。

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無功徳のまとめ

 「『努力をすれば必ず報われる』という言い方があります。その通りだと思います。ただし、『報われる』というのは、成果が出るという意味ではなく、その本当の意味は、自分自身の人生が豊かになるということです。人生とは、淡々とした小さな努力によって善(よ)きものになっていくのです」

 枡野さんは、こう解釈しています。

 小さくても日々、努力を積み重ねる。そして、自分の人生を自分の理想に近づけ、豊かなものにしていく。「無功徳」は、「努力」という言葉の意味をも問い直すものになります。

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