ノートや手帳の書き方 1日の記録をインデックス情報としてどう残すか

 日々の出来事を記録しておくことはとても重要です。大切な思い出が残せるだけでなく、記録を見て振り返ることで、ビジネスやプライベートでの課題も見えてきます。

 1日の記録をインデックス情報として、ノートや手帳にどう残すか、について考えてみました(トップのイラストは、いらすとやのものです)。

外岡秀俊さん

1行記録

 「情報のさばき方」(外岡秀俊著)という本が役立ちます。朝日新聞の海外特派員として活躍し、編集局長も務めた外岡さん(小説家・ジャーナリスト)は、「私は毎日、バインダーにはさんだルーズリーフの紙に、自分の行動記録を一行に要約しています」と書いています。

 一例として、こんな具合です。

 2/17(木) 8:00起床-朝食麺-出社-Aにtel-K氏来社、昼食(セルフリッジ)-BBC出稿-切り抜き—8:00帰宅-DVD「独裁者」

 まさに、横線を活かした1行記録です。これをルーズリーフのノートの1行に書いていくので、1年分でも10ページ、バインダー1冊で5年分が入るとしています。

 外岡さんは、これとは別に、

 書いた原稿
 食べた場所
 会った人
 行ったところ
 読んだ本
 見たもの

 についても同様に記録しているとのことです。

バーチカルタイプの手帳でも応用

 時間が時系列的に縦に書かれたバーチカルタイプの手帳なら、時刻に合わせて、たとえば、

  7:00 起床
  9:00 会社
 10:00 会議
 11:00 報告書作成
 12:30 昼食
 13:30 A氏
 15:00 社内打ち合わせ
 18:00 退社
 18:30 夕食
 19:00 映画
 22:00 帰宅
 22:30 入浴
 23:00 読書
 24:00 就寝

 と書くことができます。仕事は黒、プライべートは青、重要事項は赤と色分けして書くと、バーチカルタイプの手帳にぎゅっと、1日の出来事を収めることができます。

 もちろん、外岡さんのように、食べた場所、行ったところ、などについて、別のページを割いて書いていってもいいでしょう。

一覧性

 これで、自分の過去の行動が一目瞭然です。簡潔な記録ですが、ひとつひとつの記録を見れば、その時の様子を推測できます。その効果は大きいでしょう。大切にしたい思い出はきっちりと記録できます。

 また、日々の記録を一覧すると、将来にやりたいことや、現在の生活を改善すべき点などが浮かんできます。

 こうした夢や課題などを将来のノートや手帳に記録しておけば、さらに人生を充実させることができます。一覧性の力とも言えます。

 「情報力の基本はインデックス情報である」と外岡さんは書いています。

 情報を簡単な形にすることで、そのインデックスを見れば、情報のありか、情報の全容がわかる仕組みになっています。大量の情報は保存しておく必要はない、必要なら、インデックスに従って探せばいいという立場です。

作家の黒木亮さん

 エッセイ集「リスクは金なり」によると、英国在住の作家、黒木亮さんも毎日、起きたことをノートに書き留めているそうです。黒木さんは、このノートをもとに、国際金融などに関する小説を書くそうです。

 「当時(銀行のロンドン支店に赴任した30歳の時)、国際金融に関する難しい解説書の類はあっても、現場で日々起きている生々しい出来事をわかりやすく書いた本はほとんどなかった。わたしは自分の体験を書けば売れ、かつ、世の人々に国際金融の真の姿をつたえられるのではないかと思った」

 黒木さんはこう書き、毎日の出来事を少しずつノートに書きため、400字詰め原稿用紙で300枚ほどになった時、出版社に持ち込んだそうです。中近東、アフリカへの出張の際は、飛行機の中で、国際金融の世界で見聞きしたことをノートに書きつけ、作品の糧にしたと言います。

 デビュー作「トップ・レフト」に出て来る飛行機の緊急着陸のシーンは、黒木さんが、これらの出張の際に体験した出来事がもとになっています。

作家の佐藤優さん

 ビジネス情報誌「PRESIDENT」の「佐藤優の手帳テクニック全公開」という記事によると、作家の佐藤さんもすべてを1冊のノートに集約し、原稿執筆に役立つように、日々の行動をこと細かく記録しています。月産1200枚の原稿執筆の原動力がよくわかります。

 「締め切りやアポの予定、電話の内容を書き留めたメモや次の単行本の構想まで、すべて一冊のノートに記録しています。自分が何をしたか、これから何をしなくてはいけないのかは、ノートを見ればすぐにわかります」

 作家の佐藤さんは記事の冒頭で、こう語っています。佐藤さんが使用しているのは、コクヨのキャンパスノートです。スケジュールは、見開きの2ページを活用、左のページに原稿の締め切り、右のページにアポの予定を書き入れます。

 これらのスケジュール以外には、今日やらなくてはならない仕事のリストや、アイディアを書き入れ、ロシア語の練習帳としても使っているそうです。

 この中で、佐藤さんが力を入れているのが、何時に起きて何をして、誰に会ってどんな話をしたか、日々の行動を仕事、プライベート両面で事細かに記録していることです。一つは、情報のインデックスを作るためです。時系列の記録が手掛かりになって、関連情報を引き出しやすくなるのだそうです。

 もうひとつは、一日の行動を振り返ることで、不要な仕事や非効率な時間の使い方がわかるといいます。

 佐藤さんの仕事術がよく理解できます。

 佐藤さんは東京拘置所に入って何もすることがなかったことから、自分の行動記録を付けるようになったといい、2002年から書き始めた大学ノートは140冊になっているそうです。

まとめ

 「心に浮かんだ考えや見聞きした事実は、必ず書き留めておく習慣を受けるべきだ。そのほうが印象に残り、重要なことを忘れずにすむ」

 英国の作家サミュエル・スマイルズも著書「自助論」で、こう書いています。

 日々起きる、なにげないことも一つの情報として認識し、記録し、自分で考えて解釈を加える。日々の地道な作業が大切なことが浮き彫りになってきます。

 今の生活は自分だけしか体験できないものです。自分の成長の糧になるものもあるでしょう。手帳に書いて、自分の「小史」を作り、見返す。そんな地道な作業が大切になります。