新聞記事を読む際、重要な個所や面白いと思った所に、ポスト・イットなどのふせんを貼り付けておくと、大いに役立ちます。読み返す時、重要な個所などが一目でわかる「羅針盤」になります。何度も繰り返して読むと、良質な記事が絞られてくるのが実感できます。
新聞の読み方の実践例
2019年8月16日の日経新聞の記事(写真)を例に、さっそく実践してみましょう。
ポスト・イットは以下の箇所に貼りました。
日韓「政令経冷」の危機
歴史問題、貿易・投資に影
日韓関係の悪化 2000年代の小泉純一郎元首相による靖国神社の参拝、12年の韓国の李明博(イ・ミョンバク)元大統領の島根県竹島(韓国名・独島)訪問と、日韓関係の悪化はこれまでもあった。
1997年の通貨危機を克服した韓国は高度成長を遂げた。
政治対立が経済にあまり影響を受けない「政令経熱」が日韓を支えてきた。
ところが今回は様相が違う。ソウル市内での日本への抗議集会。標的になっているのがファーストリテイリングの「ユニクロ」だ。
日韓関係を悪化させたのは元徴用工裁判で日本製鉄(旧新日鉄住金)の敗訴を確定させた昨年10月の韓国最高裁の判決だ。
歴史問題を巡る対立は日韓企業の心理的な重荷になっている。
そして、記事の左にあるデータです。
「日本の対韓直接投資は減少が続く」
「日韓間の貿易総額は前年割れ」
「韓国からの訪日客は減少傾向」
こういう風に、ポスト・イットを貼って読み込むと、記事のポイントが浮かび上がってきます。今まで、日韓は、政治関係が冷え込むことはあっても、経済関係は良好だったが、今回は、政治関係も経済関係も冷え込んでいるという点です。
新聞の読み方 寝かせる
一度読んだら、記事の重要個所や面白い指摘は把握できます。そうしたら、3日間から1週間くらい寝かせて、また、記事を読んでみます。重要な個所や面白い指摘がそのまま変わらないと思ったら、ポスト・イットはそのままにしておきます。
また、新たな気づきなどがあったら、新しいポスト・イットを貼ります。余白に、自分の考えなどを書いてもいいでしょう。
逆に、重要でも面白くもないと新たに判断したら、ポスト・イットをはがしてしまいます。
新聞の読み方 繰り返す
この作業を何度も繰り返します。そうすると、自分にとって、重要な記事が絞られてきます。簡単に言えば、ポスト・イットの多い記事ほど、重要な記事になります。
また、目で何度も見ることにもなるので、どこに何が書いてあるかもわかるようになります。中学や高校の教科書で、覚えるべき事項の場所が浮かび上がってくるのと同じ感覚です。
そうしたら、記事をスクラップしたり、手帳などに抜き書きしておくと役立ちます。
5年前の記事
5年前の記事を見てみましょう。
「人は食うために生きるだけでなく、何かにすがったり、祈ったりするのです」
著書「空海」を書いた作家の高村薫さんは、読売新聞の「著者来店」(2015年10月11日付)でこう書いています。宗教に関心を持ち、真言宗の開祖・空海を題材に本を書いた理由がよくわかりましたので、この個所に、ポスト・イットが貼ってあります。
「つまらない新聞は読まれない。面白くするには記者が生身の人間になればいい」
ノンフィクション作家の吉岡忍さんは、「時代の正体 権力はかくも暴走する(神奈川新聞『時代の正体』取材班著)の書評(神奈川新聞2015年10月11日付)で、新聞離れが進む中、どうしたら、読者を引き付けることができるか、への答えをこう書いています。新聞への警鐘として考えさせられますので、やはり、ここにも、ポスト・イットが貼ってあります。
ポスト・イットの使い方
ただ、ポスト・イットの使い方には工夫も必要です。大きなポスト・イットを貼ると、記事が隠れてしまうため、一番小型のものを使用します。私は、縦2.5センチ、横0.8センチのポスト・イットを使用しています。それでも隠れてしまう恐れもあるため、できるだけ余白を見つけて、縦に貼ったり、横に貼ったリ、工夫するといいでしょう。
赤線を引いてもいいですが、不要と思った部分を消すのに時間がかかりますから、さっとはがせるポスト・イットの方が便利です。
まとめ
実践例に挙げた日経新聞の記事は、分析の優れた、とてもいい記事だと思います。ポスト・イットで良質な記事を見つけ出し、何度も繰り返して読むことが大切です。新聞記事には、一度で捨ててしまうにはもったいないものがたくさん有ります。
何度も良質な記事を読むと、愛着を感じることもできます。
新聞スクラップのやり方 何度も繰り返して読んで、情報力アップ 7つのポイントに注目! 【情報力アップ】